2013年はこれまで激減していたIPO(新規上場)が、54件にまで急回復した。IPO長者も続々誕生している。2013年上場組の中には、大企業を辞めてベンチャーを起こした若手経営者も多い。
3月に東証マザーズに上場した野菜ネット販売の「オイシックス」。高島宏平社長(40)はコンサルティング会社「マッキンゼー」の出身で、2000年に同社を立ち上げ、安心安全、おいしさを前面に押し出して7万5000人の定期宅配会員を有するまでに成長させた。
「フォトクリエイト」の白砂晃社長(39)は、NTTからネット広告代理店を経て、2002年に同社を創業。主力事業は、契約カメラマンを各地のアマチュアスポーツ大会に派遣して、写真をネット販売すること。幼稚園や学校でイベントがあると、撮影した写真を壁に貼り出し、保護者がそのなかから選ぶという従来のやり方を、ネットを使って効率化した。
7月10日に東証マザーズに上場した時には、買い注文が殺到し、公募価格の2.3倍に当たる3845円の気配値のまま売買が成立しなかったほど、市場の期待は大きい。
そして、2013年の上場企業のなかで最年少社長となったのが、住宅や求人、結婚などの情報をまとめて検索できるインターネットサイト「EXサイト」を運営する「じげん」の平尾丈社長(31)だ。
慶応大学在学中にアイス屋やゴミ収集、飲食店のクーポンなど、さまざまな事業に挑戦し、「1万人に会う」を目標にしていたという。卒業後はリクルートに就職し、その3年後には関連会社の社長に就任した。そんな平尾氏が上場によって築いた資産は、なんと642億円にも上る。最年少でありながら、2013年IPO長者のなかでも最高額である。投資情報サイト『東京IPO』西堀敬編集長がいう。
「彼らは一度就職して力をつけてから、あえてベンチャーでリスクをとった起業組。同期や先輩が見ているから、会社を潰したらカッコ悪いと思って頑張れる。その他大勢のベンチャー企業家の“失敗してもいいや”という考えとは根本的に違うから成功できた」
※週刊ポスト2014年1月1・10日号