みずほ銀行の不正融資問題で分かったのことは、私たちが暴力団の実態を何も知らないということだ。暴排条例によって締めつけが強まる中、彼らはどのように日常生活を送っているのか? 暴力団を長く取材する鈴木智彦氏が100人の現役ヤクザに質問をぶつけてみた。
なお、調査は12月7日から14日まで行われ、1週間で100人を対象とした。調査はすべて電話か対面で質問し、北海道から沖縄まで意識的に広いエリアを設定。対象は山口組、住吉会、稲川会といった広域団体をはじめ、全国の指定暴力団に限定してある。
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【問1】「銀行・郵便貯金などの口座は持っていますか?」
【回答】「はい」87% 「いいえ」13%
8割以上が持っているというのは、新鮮な驚きだった。メガバンクが暴力団との関係で袋だたきにあったのに、暴力団員の大半はいまだ銀行口座を持っている。
「昔は普通に作れた。そのときの口座をみんな持ってる。暴力団の身分を隠して口座を開設すると詐欺やが、それも7年経てば時効で、表沙汰になっても詐欺事件にはならん。みずほ銀行? あれは警察が天下りするためのアピールや」(47歳、関西)
具体的な銀行名を聞いたところ、メガバンクから都市銀行、地方銀行、信用金庫と多種多様である。真偽は分からないが、金融機関とヤクザの関係は依然として続いている。ただし、現役暴力団員が改めて口座を作ることは不可能らしい。
「かなりいろいろ回ったが全部駄目だった。新しく口座を作れたのは、●●系だけだ」(37歳、東京)
抜け道を教えることになるため、敢えて伏せ字とした。こうした口座は本人の名義である。関係省庁が本気になれば、分からないはずがないのだが……。
【問2】「クレジットカードは持っていますか?」
【回答】「はい」44% 「いいえ」56%
これも結果を聞いて面食らった。銀行口座と同じくこちらも本人名義である。
「もう10年近く前、会社の役員として正式に取得した。支払いも滞りなくしてる。更新できなかったカードもあるが、●●(伏せ字)は甘い」(60歳、関東)
対面で質問した際は実際のカードも見せてもらった。ゴールドカードには紛れもなく暴力団員の本名が印字されていた。ただし、東京近郊は審査が厳しいという。地方によって温度差がある。
※週刊ポスト2014年1月1・10日号