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軽自動車税の増税 新規購入者の地方税高くし差別を作る理由

 さる12月12日、自公政権は与党税制大綱を決定し、「消費税の軽減税率導入」や「軽自動車税」の増税を盛り込んだ。そのやり方は、国民全体の利害をより公平な方向に調整するというものではなく、「既得権を持つもの」と「持たぬもの」の差別を広げる方向で決められた。

 典型が軽自動車税の増税だ。「地域の足」となっている軽自動車には、毎年7200円の保有税がかかるが、それを1.5倍の年額1万800円に引き上げることになった。問題は増税の対象が、「2015年4月以降」に購入された新車からと定められたことだ。

 自動車関連諸税には購入時に一度だけ課税される取得税と、毎年課税される保有税がある。取得税であれば以前買った車までさかのぼって増税することはできないから、新たに購入した車から上げるという理屈は成り立つ。

 しかし、軽自動車税は毎年支払わなければならない保有税で地方の財源となっている。同じ車種に乗っているのに、2015年4月以降に買った人は毎年の地方税(軽自動車税)が高く、それ以前に買った人は低いという税制上の新たな差別をわざわざつくり出そうというのである。

「交通の便が悪い農村部などでは家族全員が通勤の足に軽自動車を使い、一家に3~4台というケースも珍しくない。そうした世帯の負担がいっぺんに重くならないように、すでに保有している人の税率は据え置くことにした」(自民党政調関係者)

 という説明だが、言い換えれば、軽自動車を一律に増税すれば反発が強まるから、すでに軽自動車を保有している者だけに税率を据え置くという新たな「既得権」を与え、不満をそらそうということだ。国民を“持てる者”と“持たざる者”に分けて互いを反目させる分断統治の発想である。

 こうして国民の間に不要な既得権が増え、公的差別が拡大しているのだ。

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

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