クリスマスが近づくとコンビニやスーパーマーケット、おもちゃ屋などにお菓子が詰められたブーツ型の容器が並ぶ。これらクリスマスブーツはサンタクロースやツリーとは異なり日本発祥で独自のものだ。
「外国の人には必ず驚かれます。クリスマスソックスのようなものですと伝えるとやっと分かってもらえます」と話すのは、約50年前からクリスマスブーツを製造している株式会社近商物産企画室の野田さおりさんだ。
「ツリーのオーナメントに靴下やブーツがぶら下げられているのを見て、それを大きくしてお菓子を入れたらどうだろうと着想したのが始まりだそうです。以前はサンタクロースをあしらった、綿やキラキラ光るような装飾をしたブーツが多かったのですが、最近はブーツそのものは簡素で、テレビキャラクターなどの絵柄をつけたものも増えてきています」
近商物産がある滋賀県草津市の草津駅西口商店街では、クリスマスブーツ発祥の地を記念して「クリスマスブーツギャラリー」というイベントを昨年から開催している。同社製の組み立て式ブーツを300円で購入してもらい、自由にデザインして地域の銀行やホテルのウインドウ、ロビーに展示、コンテストも行っている。
「発祥と言われていますが、確かな文献はありません。当時のクリスマスブーツも残っていないので伝聞でしかわかりませんが、ブーツの大きさや形は当時からほとんど変わっていないようです」(前出・野田さん)
東大阪市の株式会社浪花堂も、およそ50年前からクリスマスブーツを作りつづけている老舗だ。二代目社長の小田慶明さんが先代から聞いた話によると、最初はクリスマス飾りの延長として始まったという。
「先代社長である父が造花の仕事をしていたころに店内装飾を担当したとき、クリスマス飾りのひとつとしてお菓子の容器を作れないかと話があったのがきっかけだったそうです。最初はアルミの銀靴だったのが、後にプラスチック製になり、今は手編み風の毛糸布をかぶせたものが人気です。販売先も小売りやスーパーマーケット主流だったのが、最近はカーディーラーさんや携帯ショップなど景品向けの割合が多いですね。
外国でも販売できないかと試したことがありましたが、韓国はキリスト教徒が多いので少しは売れても、中国ではサッパリでした。お客様の反応がよいのは日本だけです」
クリスマスブーツは、のし紙や包装紙にこだわる文化が生かされて誕生し、楽しめるのも日本人だからこそのものらしい。