あまり知られていないが、まったく新しいタイプの原発も開発中だ。『4S』という小型炉で、地中にナトリウム冷却の原子炉などを建設し、30年間は燃料交換不要というもの。従来の原発の100分の1ほどの出力で、アラスカなど周囲にほとんど人が居住していない地域での利用が見込まれている。
一方、11月になって東芝は、オリックスと共同で地熱発電事業を奥飛騨温泉郷で行なうと発表した。原子力は重要な事業のひとつだが、従来のような原子力一辺倒からは脱却しようとする意図も見える。
エネルギー分野では、発電だけでなく“使う”シーンも大きなビジネスチャンスと捉えられている。一例が、横浜市が取り組む次世代エネルギー・社会システムの実証実験「横浜スマートシティプロジェクト」だ。多くの企業が参加するが、東芝はそこで中心的な役割を担っている。コミュニティ・ソリューション事業部の羽深俊一氏が解説する。
「地域や街全体のエネルギーを管理し、全体として省エネを図る取り組みです。2013年夏には、ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)という仕組みを利用して、横浜のビルや工場などに参加してもらい、実証実験をしました。電力需要のピーク時間帯に、同システムを使って節電を要請することで最大22.8%も節電することができました」
同プロジェクトでは、各家庭で電力消費を「見える化」させるホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)も組み合わせていく考えだ。それに必要な節電効果を高める家電「スマートエアコン」「スマート冷蔵庫」「スマートLED照明」なども次々に開発している。
※SAPIO2014年1月号