「この海岸にはたまに水死体が漂着するから、リュックサックの中に生首でも入ってるんじゃないかと思ってすぐ110番したよ」──。横須賀在住の漁師の男性(74)は、ひと月前の驚きをこう振り返る。この男性こそ、120キロ、末端価格72億円という漂着コカインの第一発見者なのだ。
男性は11月19日早朝、海岸で掃除中に不審なリュックを発見し通報。駆けつけた警察官が中を確認したところ、ポリ袋に入った白い塊が。警察官は開封し粉を舐めると、「違法薬物だ……」とつぶやいたという。
このコカインは「瀬取り」(洋上の密輸取引)に失敗して漂着したとみられる。2012年の押収量が全国で6.6キロだからケタ違いだ。3か月後までにコカインの“持ち主”が見つからなければ、大金は男性の手に──というわけではない。
「コカインは遺留品として警察が押収した形になるので、発見者に拾得権は発生しません」(神奈川県警)
発見後、漁師町は報道陣で大混乱、男性は4日間も漁に出られなかったという。コカイン拾って水揚げ減とは、とんだ災難である。
※週刊ポスト2014年1月1・10日号