ライフ

要介護認定の結果に納得できなければ再審査要請することも可

 自宅で平穏に死にたいと思っていても、自宅で介護・医療を受け続けるには経済的負担も大きく、実際に自宅で死ねる人は少ない。そこで、高額療養費制度や介護保険などを利用して、自宅で“終の生活”を送るために必要なお金を減額することも視野に入れなければならない。

 とはいえ、こうした公的なバックアップを受けるためには、越えなければならないハードルがある。在宅ケアの負担額を軽減する公的補助は、自発的に申請をしないと受けられない。まずは、どんな制度があるのかを知ることが大切になる。

 何といっても、知っておくべき第一は、介護保険だ。自治体(市区町村)から「要介護」「要支援」の認定を受けた65歳以上を中心に保険給付が行なわれる制度で、その申請から判定までにはいくつかの段階がある。

 判定の結果、「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階での認定が決まり、要支援・要介護度別に定められた支給限度額の範囲内で、「居宅サービス」や「施設サービス」などの介護サービスを受けることができる。

 認定を受ける作業が、介護保険制度利用の最初のステップになるが、判定次第で支給限度額が約5万~36万円と大きく変わってしまう。介護問題に詳しいノンフィクションライターの中澤まゆみ氏はこうアドバイスする。

「訪問調査員が訪ねてくる際には、家族などの介護者が立ち会うことをお勧めします。というのは、本人は調査員にいいところを見せようと頑張ってしまいがちなので、終わった後に介護者が調査員に日頃の実情を口頭で伝えるか、記録やメモにしたものを渡すなどして、『特記事項』として報告してもらわないとならないからです。

 これをやらないと、本人が答えた『基礎調査』だけが判定材料となり、低い判定になってしまいがち。特に認知症の人は身体機能に問題がなく、取り繕いがうまいことが多いため、不当に低く判定されるケースが目立つのです。この特記事項の他に、『主治医意見書』がしっかり書かれていれば判定の好材料になるので、日頃から本人の体調をよく知っている『かかりつけ医』の存在も大切です」

 また、一般的に高齢者は午前中は体力的に余裕があり、普段以上に元気に振る舞ってしまう場合が少なくない。したがって、疲れが溜まる午後、それも夕方に調査を依頼した方が後の判定に有利となりやすい。

 認定結果に納得できなくても、すぐに諦めてはいけない。認定から60日以内に役所の担当窓口に連絡し、改めて普段はどういう状態なのかを説明すれば、再調査や再審査が行なわれるケースが少なくない。

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

関連記事

トピックス

中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新田恵利(左)と渡辺美奈代があの頃の思い出を振り返る
新田恵利×渡辺美奈代「おニャン子クラブ40周年」記念対談 新田「文化祭と体育祭を混ぜたような感覚でひたすら楽しかった」、渡辺「ツアーも修学旅行みたいなノリ」
週刊ポスト
放送時間を拡大しているフジテレビの『めざましテレビ』(番組公式HPより)
日テレ『ZIP!』とフジ『めざまし』、朝の“8時またぎ”をめぐるバトルがスタート!早くも見えた戦略の違い
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
公的年金は「社会的扶養」「国民の共同連帯」「所得再分配機能」(写真提供/イメージマート)
《まるで借りパク》政府の基礎年金(国民年金)の底上げ案 財源として厚生年金を流用するのは「目的外使用」ではないのか、受給額が年間8万円以上減額も
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン