ヤクザに憧れる層が一定数存在することは、仁侠映画人気などを見ても明らかだが、果たして当のヤクザたちは、ヤクザという職業を選んだことをどう思っているのだろう? 暴力団を長く取材する鈴木智彦氏が100人の現役ヤクザに質問をぶつけてみた。
なお、調査は12月7日から14日まで行われ、1週間で100人を対象とした。調査はすべて電話か対面で質問し、北海道から沖縄まで意識的に広いエリアを設定。対象は山口組、住吉会、稲川会といった広域団体をはじめ、全国の指定暴力団に限定してある。
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【問】「生まれ変わってもヤクザになりますか?」
【回答】「はい」60% 「いいえ」40%
アンケートは他の暴力団員を完全に排除した場で行なっておらず、第三者がいた場合はほとんどイエスの回答である。ちょうど2割の差が出たが、暴力団のプライドに関わる質問だけに、返答を額面通りに受け取らないのが賢明かもしれない。
「俺はヤクザという生き方が好きなんで、何度でもヤクザをやる」(25歳、中部)
こう答えた暴力団員の9割は20代の若手組員だった。NOと即答したのはすべて年配の経験豊富な上層部だ。
「俺もヤクザに憧れがあった口だが、映画で観るのと実際にやるのは大違い。汚い話も裏切りも日常茶飯。兄弟分こそ信用できない社会で、まともな感性を持っていれば二度とやりたくないと思うはず。子供はなんの職業についてもかまわないが、ヤクザと警察だけは認めない」(62歳、関東)
一昔前までは、政界のように二世ヤクザが組織を継ぐことがブームになりつつあった。親分という地位にはそれだけの旨味があった。今は上納金の増加を避けるため、あえて上位の役職を避ける幹部が増えている。ヤクザが斜陽産業となった事実は、こうした場面からも切実に感じられる。
※週刊ポスト2014年1月1・10日号