スポーツ

王貞治氏「野茂やイチローのおかげで日本のレベル上がった」

 野球の世界的な普及を目的に活動するなど、今でも純粋に「野球」と向き合い走り続けている王貞治氏。そこには古き良き日本への思いと、自分を育んでくれた「球界への感謝」の念があった。そんな王氏が球界の現状について語った。

 * * *
 これは僕の持論なんだけど、いつも「これからの若い選手にとって何がいいか」を考えるべきなんです。自分たちにとって何がいいかを考えては絶対にダメ。

 野球というのは難しくて、選手以外で野球に関わって生きていくのは大変難しいんです。プロですらそうなんだから、アマチュアはもっと大変。

 例えばゴルフなら、教えたら教えただけお金がもらえるじゃないですか。野球はそうはいきません。アマの若い指導者は、ほとんどが土日にボランティアでやっています。だから彼らのような人が、安心して指導できる環境作りも必要なんです。

 そのためにはお金がいる。プロ野球の球団や選手は、自分たちのためだけに稼ぐのではなく、そういう活動のために稼ぐという意識を持ってほしい。

 次代を担う子供たちのために施設を作ったりだとか、彼らに野球を教える場とかいうものにお金を使えば、協力してくれる企業も出てくるでしょう。稼いだものをいかに使うかということが大切なんです。

 今、ポスティングの問題で色々いわれていますが、もともと選手がメジャーに行く道は、まず野茂(英雄)がつけてくれた。投手の道ができたら、今度はイチローが行って打者の道が開けた。彼らのおかげで日本の野球のレベルは間違いなく上がっている、アメリカに近づいているわけです。

 何事も、誰かが先鞭を付けなければならない。今は小学生だって、日本のプロ野球ではなく、最初からメジャーを目指すような子も増えている。これは全体のレベルが上がるという意味でいいことなのです。その道を閉ざすようなことがあってはいけない。

●取材・文/永谷脩(スポーツライター)

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン