中国の習近平・国家主席など中国共産党や政府要人の警備を担当する党中央警衛局の最高責任者に習主席の腹心中の腹心である栗戦書・党中央弁公庁主任が就任するなど、同局で大幅な人事異動が行なわれ、警備担当者も中国人民解放軍の特殊部隊の精鋭に総入れ替えされていることが分かった。
中国では最近、共産党政権転覆のクーデターや習主席暗殺などの計画があったなどと不穏な情報が飛び交っており、警備担当者の総入れ替えも宮廷政変に警戒しているためとの見方も出ている。香港の月刊誌「博訊(ボシュン)」が伝えた。
党中央警衛局は伝統的に共産党指導部の護衛を担当する組織で、組織的には党中央弁公庁に属しているが、そのメンバーは軍総参謀部と日本の警察庁に相当する中国公安省の第9局(中南海警衛局)から選抜される。
中央警衛局長は胡錦濤前主席時代から変わらぬ曹清氏。曹清氏は軍出身で、党元老の葉剣英・元国家主席の護衛を務めており、1976年に毛沢東夫人の江青女史を逮捕した際のメンバーで、警備畑一筋の生え抜き。
ところが、この曹清氏は最近、まったく影が薄くなってしまった。曹清氏を残して他の同局幹部が一掃されたのに加えて、同局政治委員として栗戦書氏が就任し、曹清氏の頭越しに同局人事を差配したのだ。
気が付けば、曹清氏が知っている警備要員はすべて転出しており、新たなメンバーはほとんどが軍の精鋭と入れ替わっていた。
中国では昨年3月、公安部門や武装警察、軍の一部組織、さら司法関係部門の一手に握る政法部門トップの周永康・元党政治局常務委員と、腐敗容疑で逮捕され終身刑の判決を受けた薄熙来・元重慶市党委書記(元党政治局員)が共謀して、政権転覆を謀った軍事クーデターを起こそうとしたとの情報が流れている。
さらに、昨年9月には習近平主席が突然、約2週間、姿を消すという不可解なできごとがあったが、これは周氏らが習主席の暗殺を謀り、習主席が背中を負傷したとも一部では伝えられている。
このため、警衛局メンバー総入れ替えはクーデターや宮廷政変を未然に防止するためのもので、曹清氏はいずれ解任されるのは時間の問題とみられている。