神社や寺院を参拝した折り、神主や僧から朱印と墨書をいただく「ご朱印」。これまでは四国を巡るお遍路まいりの中高年が、和綴じの帳面に集め仏壇におさめるイメージが強かった。ところが最近は、社務所や納経所へ立ち寄りご朱印をいただく若い女性、「ご朱印ガール」が増えている。
国立市の谷保天満宮では、青空と梅が満開の様子をデザインした水色とピンクのオリジナルご朱印帳を4年前に頒布し始めたところ、若い女性の参拝客が激増した。権禰宜(ごんねぎ)の菊地茂さんは「非常に手応えがあります」と反響の大きさに驚いている。
「参拝者は10年前の10倍近くに増え、土日のたびに朝からとても忙しくなりました。20~30代の女性が多く参拝にいらっしゃいます。インターネットで『かわいいのをゲットしました』と広まり、全国から参拝者が集まるようになりました。札幌からご朱印帳をめあてにいらした方も。いまはかわいいご朱印帳が増えて入手しやすくなり、ご朱印をきっかけにして若い女性の寺社参りがブームから定番になっていると感じます」(菊地さん)
数年前のスピリチュアルやパワースポットブームの折りも女性の参拝客は増加したが、ご朱印帳をもつ人は少なかった。それまで、ご朱印帳といえば紫や紺色など地味な60、70代の高齢者を意識したもの。ところが、谷保天満宮がパステルカラーの“かわいい”ご朱印帳を頒布し始めたのをきっかけに、若い女性も手に取りやすい明るい色合いのご朱印帳を手にご朱印を集め歩く人が増えている。
インターネットショップと伊勢神宮、出雲大社の門前商店街でご朱印帳を販売する「Holly Hock」は昨年8月に営業を始めた専門店だ。代表の河口裕さんは、趣味で友人たちと神社仏閣を巡るなかで若い参拝者が増えつつあると感じ、寺社を訪れる楽しさをもっと知ってもらうきっかけになればとオリジナルご朱印帳の企画販売を始めた。創業して一年と少しだが、若い女性にご朱印帳が広まっていることを実感している。
「オリジナルデザインのご朱印帳を販売していますが、購入者の6割が女性です。30代女性がもっとも多く、50代よりも20代の方が多いですね。インターネット、とくにTwitterでご朱印やご朱印帳についての情報が交換されていて、彼女たちは『ご朱印ガール』と自分たちを呼んでいます。寺社で頒布されているものには青色のものが多いからか、赤など暖色系で和柄を現代風にアレンジしたものが人気です」(河口さん)