就任1周年の節目となる昨年12月26日、安倍晋三首相は靖国神社参拝を果たした。だが、この参拝は“焦り”に駆られての行動だったと見るべきだろう。
「菅義偉・官房長官らは、米国が安倍政権のタカ派姿勢に警戒感を示していることから、参拝を自重するように求めていた。前日(25日)に“参拝見送り”という報道が出たのも菅氏らの意向。一度は総理も回避を受け入れたが、“嘘つき”といわれることを気にして参拝に踏み切った」(官邸筋)
揺れる安倍首相の脳裏には、ここでも小泉純一郎氏の陰がちらついていたはずだ。小泉氏は「原発ゼロ」講演の際に、あえて靖国参拝に言及した。
「私の辞めた後、総理大臣はひとりも靖国神社に参拝していないじゃないですか。それで日中関係がうまくいっているんですか」
この言葉には、安倍氏に対する強烈な批判が込められている。小泉氏が安倍政権への批判姿勢を強めるなか、“靖国行く行く詐欺”を続ければ、政権が危うくなるという危機感が安倍首相にあったのではないか。
だが、この参拝は必ずしも保守層から全面的に支持されたわけではない。靖国神社崇敬奉賛会顧問の高森明勅氏はこう語る。
「会見で安倍総理は“この1年の安倍政権の歩みをご報告した”といいましたが、純粋な慰霊ではなく、自分の政治実績をアピールするための参拝だったという疑問を与えかねない。“就任1年目”というのも総理側の都合でしかありません。
重要なのは、これから先、今年の春季例大祭、そして国民が注目する8月15日参拝の覚悟があるかどうか。それができなければ、今回の参拝が単なる支持率回復の道具でしかなかったと見られ、保守層の反発を招くことになりかねません」
※週刊ポスト2014年1月17日号