最近、プロレス会場に若い女性客が増えているという。最大手の新日本プロレスと並んでプロレス界を盛り上げ、女性客急増に貢献しているDDTプロレスリングの高木三四郎社長に、女性客がプロレスにのぞんでいるもの、そしてエンターテインメントショービジネスとしてのプロレスの可能性について聞いた。
* * *
――客席の男女比や年齢層は変わってきているのでしょうか?
高木三四郎(以下、高木):お客さんの男女比は半分ずつですが、20代女性のお客さんがとくに増えたなと実感します。選手では飯伏幸太、ケニー・オメガ、HARASHIMAの人気が高いですね。若いイケメンのレスラーだけが出場する女性客限定の『BOYZ』という興行を12月に開催したのですが、女性だけの空間になると声援というか歓声というか、叫び声のボリュームがすごいんです。
僕のようなおじさんレスラーは出られないので、プロデューサーとして柱の陰から見ていました(笑)。興行の最初にスーツ姿での選手入場式をしたら、それだけで「キャーッ」という声が客席全体からあがるんです。お客さんの反応がよいから選手はノリノリでしたよ。プロレスで、女性だけで会場を埋められる団体はDDTくらいじゃないかと思います。
――若い女性はプロレスラーのどんなところに魅力を感じているのでしょうか?
高木:ネットなどをリサーチしていて思うのですが、いま再び、肉食系男子がモテているんじゃないかなと思うんです。草食系男子がもてはやされていたときは、がっちりした体格のプロレスラーは、イケメンであったとしても一般的な女性人気を集めるのが難しかった。でも今は、鍛えている男性に憧れたり、かっこいいと思う女性が多くなっているように感じています。いま、一番売れ行きが良いグッズはヌード写真集なんですよ。
――男性レスラーのヌード写真集ですか?
高木:もちろん男性プロレスラーのヌード写真集です。
写真家のレスリー・キーさんに撮り下ろしてもらったレスラーのヌード写真集を8月に出したところ、飛ぶように売れています。撮影風景を使用した30秒ほどの映像で6月の後楽園ホール大会のときに発売を告知したのですが、女性の悲鳴がすごかった。盛り上がりは会場だけにとどまらず、Twitterでものすごい勢いで拡散されていきました。
――DDTでは選手のTwitterには運用基準があるのでしょうか?
高木:Twitterでどう受け答えするか、ファンへのリプライも含めて選手にまかせています。AKB48は「会いに行けるアイドル」で身近さがセールスポイントだった。偶然ですが、16年前のDDT発足当初から僕たちも身近さがセールスポイントです。
プロレスラーというのは、アントニオ猪木さんやジャイアント馬場さんのように昔は雲の上の存在だった。人間離れしたとても身体が大きな人も多かった。でも最近は平均身長も175センチぐらいで小型化しています。今は身近な存在が容認される時代ですし、距離の近さをアピールした方がよいのではないかと判断しているんです。だから、DDTは選手全員にTwitterを自由にやってもらっています。
プロレスはキャラクタービジネスです。個性豊かなキャラクターがリング上で戦う場所がプロレスです。もちろん、強さや弱さ、試合の勝敗を楽しむものなのですが、それだけでは面白さを測れないのが魅力であり良いところでもあります。