日中関係の今後を考える上で、「防空識別圏」は避けて通れない。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏が指摘する。
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日本にとっては寝耳に水だった中国による防空識別圏の唐突な設定。直後には国民の9割近い人数がこれを支持したとの報道もあり、中国国民が大いに溜飲を下げたかのようにも受け取られたのだが、現実はそれほど単純な話でもなさそうだ。
というのも、ネットには国防部の動きに対する批判が少なからず見つかるからだ。なかでも話題を呼んでいるのが、丁トウの筆名で政治評論を続けている有名ブロガーの痛烈な批判だ。
タイトルは〈中国の防空識別圏設定はいかにして国際社会から嘲笑されたのか〉だ。
ちなみに丁トウ氏が政治評論員、国際政治研究者などの肩書で発信し続けるブログは人気が高く、「鳳凰網が選ぶ2012年最も影響力のあるブロガーベストテン」、「中国社会に影響力を持つ百人のブロガー」などにも選ばれている。
今回の防空識別圏設定に対する批判は、主に中国から見た設定へのプロセスの稚拙さに向けられていて、準備不足や全体としての戦略の欠如をしてきしたものである。そのため日本で起きた批判とは一線を画するのだが、要するに「場当たり的である」との批判は、冷静さを欠く政治の危うさを指摘していると受け止めれば得心がゆくものだ。
戦略があることも日本にとっては怖いことだが、戦略のない中国はそれ以上に大きな脅威に間違いないからだ。