2011年7月、俳優・高岡蒼甫のツイッターでのコメントが物議を醸したことは記憶に新しい。「正直、8は今マジで見ない。韓国のTV局かと思うこともしーばしーば。取り合えず韓国ネタ出てきたら消してます」──。
だが、高岡はその後、「自分の発言が間違いだとは全く思ってません。国を愛する人間としての一つの意見」と、筋を曲げなかった。
それでも、大河女優・宮崎あおいを妻に持つ人気俳優によるテレビ局批判など、業界においてはタブー。発言直後に高岡は所属事務所を退社し、騒動から3か月後には報道各社に「自分の発言から様々な方面で波紋を広げてしまった事、申し訳ない気持ちです」との謝罪文を送付した。
同年末には宮崎と離婚。「不仲説はあったが、“嫌韓流”発言が離婚の決定打になった」(芸能関係者)といわれている。また、それと時を同じくして芸名を「高岡蒼佑」に改名した。
それから2年半。韓流ブームは過ぎ去り、過激発言を繰り返す韓国大統領への反感が日本に渦巻いている。テレビ局も変わった。高岡が噛みついたフジでは、2012年春から韓国ドラマの定期放送がなくなった。NHKの紅白でも、韓流歌手は2年続けて出場ゼロ。
「韓国人俳優が竹島に上陸するなど、韓国芸能界も反日ムードが強まっている。韓流コンテンツは視聴者から反感を買う」(キー局幹部)というのが理由のようだ。
だとすると、高岡の発言は“早すぎた”のか? 高岡のフェイスブックに質問を送るとこんな律儀な返答が戻ってきた。
「(返事が)遅くなりまして申し訳ございません。過去の事、発言に関しまして、全て自分の発言したものについては、その時の、全てでございます。ただ、当時29歳の未熟者、プライベートのゴタゴタも重なり、世間を大変混乱させた事に申し訳なく思っております」
発言内容はともかく、発言そのものには後悔の念が窺える。その後、高岡はこう語った。
「名前は今日付で高岡奏輔に改名させていただきました。今後ともお仕事する機会がありましたら、何卒、宜しくお願い致します」
時代を先取りしすぎた韓流批判は、高岡の人生を大きく変えてしまったようだ。
※週刊ポスト2014年1月17日号