夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は寄せられたのは、建設会社勤務のご主人(41歳)。奥様(39歳)は「天然」だそうです。
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知人からの結婚式の招待状を見て「悔しい! アナタ、浮気してるでしょ! 私の名前はK子なのに、アナタの隣に別の人の名前が書いてあるわよ! 誰なのよ、この『令』夫人って!」
……そんな奥さんに、今度の年賀状の文面を見せました。僕が新年の目標に「切磋琢磨」と書いたところを指して「これ、何て読むの?」。「せっさたくまだよ」。「へえ~、『僕』じゃなく『拙者』? 古風なのねぇ。で、琢磨さんって誰?」。
正しく説明していると長くなるので、「キミも何か抱負を書けば? 知ってる四字熟語でいいからさ」というと、「私が知ってるのはねぇ、『危機一髪』に『音信不通』、アッ、『天涯孤独』っていうのも知ってるけど……」。あのなぁ、そんな言葉を新年の誓いにしてどうすんだよ!
ウチの奥さんには四字熟語は難しそうなので、「『来年はテレビばっかり見ないで小説を読む』っていってたじゃないか。読みたい小説の題名を書いたら?」というと「それならこれ!」。目を輝かせて書いたのは『走れエロス』。
「お前は壇蜜か! それをいうなら『メロス』だろ!」と突っ込もうとしたら、僕にしなだれかかり、「ウフフ、冗談よ。でもアナタ、まだ若いんだし、新しい年も毎晩、頑張ってね」。う~ん、希望に応えるよう「切磋琢磨」するけど、多分「三日坊主」に終わると思うよ。
※週刊ポスト2014年1月17日号