生ける伝説、400勝投手・金田正一氏と、球界きっての理論派・桑田真澄氏の対論が再び実現した。ピッチングは「スピード」か、それとも「コントロール」か──。まずは、このテーマから火花が散った。
金田:投手にとってスピードとコントロールどちらが大事か? バカモン、そんなバカな質問をワシにするんじゃない。当然スピードに決まっているだろう。そもそもワシはコースなんか狙ったことはない。狙っても球が速すぎて、弾けてどこかに行ってしまうんだ。ど真ん中に投げるコントロールはあったから、ど真ん中を狙って、あとは勝手にコーナーに曲がっていく。それで64イニング連続無失点(日本記録)だ。
桑田:すごい話ですね(笑い)。
金田:逆にいえば、コントロールだけでプロで生きるのは厳しいんだよ。だが桑田は、それで生き延びた稀有な例だな。お前は案の定、「コントロールが大事」というんだろう? だから最近のプロ野球は小さくまとまってしまうんだ。
桑田:僕は金田さんとは違って、背が高いわけでも、体力があったわけでもありません。剛速球投手ではないから、確かに、アウトローへのコントロールが生命線でした。
※週刊ポスト2014年1月17日号