2010年、バンクーバー冬季五輪のスノーボード・ハーフパイプ代表だった国母和宏(こくぼ・かずひろ)。本音をそのまま吐き出したこの一言は、雪上に“大炎上”を引き起こした。「反省してま~す!」「チッ、うるせ~な!」──。
8位入賞という成績より、記憶に残るのは選手団の公式スーツを着崩した“腰パン”ファッション。服装を咎められた際の“チャラい対応”が、「それでも日本代表か」と猛バッシングを受けた。
五輪後、国母本人は「お咎めなし」となったものの、チーフコーチは責任を取ってJOC専任コーチを辞任。全日本スキー連盟は、再発防止策として強化指定選手の行動規範も作成した。
あれから4年。国母は生まれ変わったらしい。昨年8月、全日本チームのハーフパイプ競技の技術アドバイザーに起用されたとスポーツ紙が報じたのだ。
8月10日付のデイリースポーツでは、全日本スキー連盟の古川年正競技本部長が「あれ以来スポーツマンらしくするよう教育を受け、国母はすっかり変わった」と、成長を証言。11月27日のスポーツ報知では、上島しのぶヘッドコーチも、「誰に聞いても『尊敬する人は(国母)カズくん』というぐらい」と、後輩たちの信頼が厚いことを明かした。
当時大学生だった国母も、今や25歳。心を入れ替え、後進の指導に当たっているのだろうか。しかし、全日本スキー連盟に改めて取材すると、意外すぎる答えが返ってきた。
「(技術アドバイザーに起用という報道については)迷惑しているんです。彼がアドバイザーになれるはずがありません!」(広報担当)
……と、もの凄い剣幕。どうやら連盟内でも国母の評価は二分しているようだ。
「国母は、スノボ関係者には一目置かれる存在でも、それ以外の連盟関係者にはいまだ目の上のたんこぶ。連盟内の温度差は大きい」(スポーツ紙記者)
国母が本当の信頼を勝ち得るには、まだまだ時間がかかりそうだ。
※週刊ポスト2014年1月17日号