人の死後、いちばんのトラブル要素といえば、お金関係。老後資金の準備方法を指南するファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは、「漠然と老後の心配をする人は多いですが、案外、しっかりお金のことを把握している人は少ない。男性より寿命が長い女性こそ、具体的に考え把握すべきです」と話す。
例えば、夫婦が同じ年齢の場合、統計的に65才の男性は15年、女性は21年ほど老後の生活がある。妻の“おひとりさま期間”は6年という計算に。
「夫に先立たれた専業主婦の場合、遺族年金として夫の厚生年金のおよそ4分の3(条件による)が支給されますが、夫の国民年金分はもらえなくなります。そもそも夫婦2人の暮らしに、年金だけでは足りません。ひとり暮らしになっても、光熱費や食費はほとんど変わりません。夫婦で豊かな老後を送るためにも、ひとりになってからの不安を軽減させるためにも貯蓄は必須です」(山崎さん、以下「」内同)
総務省発表の「働いてない高齢者の夫婦世帯」がもらっている公的年金給付額と実際に使っている平均金額(月額)を比べてみると、2012年は給付額が20万7571円なのに対し、実支出額は26万5687円。つまり、1か月に約6万円不足しているということになる。
「年間で72万円不足として、例えば85才まで夫婦2人で暮らした場合、20年で1440万円不足する計算です。これをひとつの目安に、今後消費税が段階的に上がることや医療負担額が上がる可能性を考慮し、やや多めに貯蓄すればいいでしょう。ただし、あくまで平均額なので、実際にもらえる年金額を調べることも忘れずに」
とはいえ、1440万円を今から貯めるのは大変だ。
「夫の勤め先が一般企業なら退職金がありますから、その分を当てられます。まずは社内規定を調べたり、人事・総務部、年金基金事務局に問い合わせ、退職金を把握しましょう。心配しすぎることはありません。そのうえで、貯蓄に向けたプランを考えるといいでしょう。40代の今からでも大丈夫! 家計のダイエットをして貯金すれば、老後の豊かさにつながりますよ」
※女性セブン2014年1月23日号