カリスマFXトレーダー・羊飼い氏は、2014年の為替相場の大きな流れは、引き続き、ドル高になると予測している。その根拠は、QE3(量的緩和第3弾)の縮小・廃止と、米国金利の引き上げに向けた動きだが、当然ながら一本調子で上昇するわけではないだろう。その過程で為替相場に影響を与えそうな諸問題について、羊飼い氏が解説する。
【QE3の縮小、利上げ】
これまで市場に大量の資金を供給してきたQE3が、2015年1月から縮小することが決定。QE3が終わればその次はいよいよ利上げに向かう。「この流れは長期的にドル高への強いトレンドをもたらすだろう」(羊飼い)。
【アメリカの財政問題】
2013年秋には債務上限引き上げ法案の可決が遅れ、デフォルト(債務不履行)の危機に見舞われた。期限ギリギリで妥結したが、「年明けまでの暫定的な期限なので、2014年早々にも同じ問題がくり返されることも。そうなるとアメリカの政治経済やドルに対する信用が低下し、市場に混乱を招く可能性が」(羊飼い)。ドル安要因。
【欧州債務危機】
2009年のギリシャ危機に端を発した欧州財政危機は大幅なユーロ安を招いた。2013年は大きな混乱はなく、ユーロ圏の景気回復を示す経済指標も相次ぎ、マイナスが続いていたユーロのスワップポイントもプラス圏に浮上。「それでも欧州再建の道は長く、なんらかのきっかけで債務危機が再燃することはありえる」(羊飼い)。ユーロ安要因。
【中国のシャドーバンキング問題】
中国の地方政府が銀行を通さずに「理財商品」という高利の金融商品で資金を調達してきた問題が表面化。問題の構造が、かつてのサブプライム問題と似ているために金融危機も懸念された。「これを発端とした金融不安が起こった場合、世界経済や為替市場にどのような影響を及ぼすかは未知数」(羊飼い)。
【アベノミクス、消費増税】
政権交代と日銀の「異次元緩和」による期待で、2013年は株高・円安傾向が続いた。「期待」から「実行」段階に入る2014年は、景気の浮上やデフレ脱却を実現できるかどうか、その真価が問われる。「2014年4月からの消費税増税の影響と、2015年10月に予定される10%への再増税を決定できるかという点にも注目」(羊飼い)。アベノミクスが成功すれば円安要因。
※マネーポスト2014年新春号