日本人の2人に1人ががんに罹る時代だ。がんの複数回の発生、転移、手術を繰り返す人も少なくない。長期にわたる闘病に屈せず、仕事にも打ち込みながら、病を克服してきた人たちに共通する「秘密」とは。
ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(73)は2005年、65歳の時に直腸がんが見つかった。以来、2007年に肺、2009年に肝臓に転移が見つかり、計4回の手術を受けた。それでも73歳になる今でも、執筆、講演、テレビ出演で多忙な日々を送る。「がん発覚を契機に生活習慣、とくに食生活を大きく変えた」と鳥越さんはいう。
「食事は朝と夜の2食だけ。野菜と果物、魚を中心にして、それでタンパク質を摂る。少量の鶏のササミや豚肉を食べることもありますが、牛肉は食べません。朝食は毎日同じ。煎りじゃこを豆腐にかけたものと、バナナのスライスにヨーグルトをかけたもの、それにトースト1枚、紅茶1杯です。規則正しい生活をして、免疫力を高めることでがんを克服しようと考えています」
睡眠時間は最低6時間を確保。早朝のテレビ出演で足りないと思った時には、計画的に昼寝をする。
「70歳になったことをきっかけに肉体改造を始めたんです。それから週に3回、1回に2時間ぐらいジムでトレーニングをしています。粗食と快眠と運動。それで、今は体調を崩すことはなくなりました。がんを宣告されたことで、むしろそれ以前よりも健康になった。実際、がんや医療についての講演が増えたことで、仕事はがんになる前の3倍に増えていますが、なんとかこなせています」
※週刊ポスト2014年1月17日号