中国では「私人会所」というプライベートな会員制の高級なバーや宿泊施設があり、中国共産党幹部と業者の密会の場として使われており、ときには党幹部に女性をあてがう場にもなっている。
腐敗撲滅を声高に叫ぶ習近平指導部はこれまでも高級料理でもてなす接待や会合を禁止し、質素な気風を尊重するぜいたく禁止令を出しているが、金とセックスによる供応を止めさせるため、今度は私人会所が取り締まりのターゲットとなっている。
私人会所は民間が経営しているが、風光明媚な観光名所や歴史的な建造物などがある公園や政府の管理地のなかにある場合も多く、民間経営は建前で、実質的に公的な機関がバックについているケースがほとんどだ。
党幹部の一部は無料で会員証を手に入れて、利権を享受しており、業者との打ち合わせなどに使われている。会員でないと利用できないため、なかでどのような料理が出させているかや、どのような作りになっているか分からないことから、習近平政権が通達した贅沢禁止令も無視されている。
なかには、プールやマッサージ、温泉を引いた浴場、ゴルフ場など併設し、贅の限りを尽くした一大娯楽施設となっているケースもあったといわれる。
党員の不正を追及する党規律検査委員会は2013年12月初め、このような私人会所にメスを入れ、全国的に大規模な家宅捜索を行ない、不正内容を捜査した結果、フカヒレ、鮑、熊の手、燕の巣など高級食材を使った中華料理が供され、党幹部専用の高級コールガールも摘発したという。
中国では「上に政策あれば、下に対策あり」との言葉があるが、今回の私人会所はそれを地でいくもので、習近平指導部が腐敗の取り締まりを強化すればするほど、その裏をかいて、腐敗の手口が複雑化するという傾向が著しくなっている。
党規律検査委では「幹部が私人会所に出入りすれば、厳格に処罰し、さらにその事実も公表する」としているが、最近では警察組織の最高幹部だった李東生党・公安相次官が腐敗容疑で逮捕された。さらに、李の元上司で、党最高幹部である党政治局常務委員や、裁判所や警察、検察など司法関係機関を一手に束ねる党政法委の最高責任者を務めた周永康氏が身柄を拘束されたとの情報が流れるなど、中国共産党は際限のない腐敗と摘発の渦に呑み込まれているようだ。