中国共産党指導部は今年から党幹部は個人の資産などを党組織に報告するよう党の内部通達で指示したことが分かった。隠し財産や不正蓄財が露見した場合、厳罰に処せられるという。しかし、欧米メディアが温家宝・元首相ら最高幹部ファミリーの巨額な資産形成を報じたこともあり、今回の措置は党最高指導部が自らの首を絞めることになりかねないとの見方もある。
中国では一昨年秋、習近平最高指導部が発足して以来、党・政府幹部の腐敗取り締まりを強化しており、すでにこれまで省長級幹部十数人が逮捕。最高指導部を形成した党政治局常務委員の周永康氏も身柄を拘束されているという。一説によると、周氏の収賄や公金横領の総額は1兆元(約1兆6000億円)を超えるという天文学的な数字だ。
これまでの例からみると、腐敗幹部は現金だけでなく、マンションなどの不動産や高級外車、優良国有企業の株券などを保有しており、今回の内部通達ではそれらの資産の報告を義務づけているほか、妻や子女など家族の保有資産も報告しなければならない。
不正常な手段による資産や不正蓄財が明らかになった場合、国営新華社通信や党機関紙「人民日報」、国営中央テレビ局などで結果が公表されるほか、懲戒免職や逮捕など厳しい処分が下されるという。
しかし、米紙ニューヨーク・タイムズは温家宝・元首相ファミリーが分かっているだけで27億ドル(約2700億円)もの不正蓄財をしているほか、習近平国家主席の姉夫妻も約420億円もの資産を形成していたと報じている。
このようななか、ネット上で話題になっているのは、習近平主席が昨年末、庶民が行くような町の食堂で食事をしたことだ。列に並んで、肉まんとレバー炒めなどを注文、料理を受け取ると自分で席まで運び、庶民の客たちと一緒のテーブルで食べたのだ。代金はわずか21元(約360円)で、それも自分で支払ったのだという。
習氏の庶民性をアピールする狙いがあるのは間違いないが、北京ではすぐに評判になり、多くの人々が習氏が注文した「主席定食」を食べるようになった。
だが、ネット上では「あくまでも評判取りのポーズだ。習主席は庶民派を気取り、米国の政治家のまねをしているだけだ。米国の通信社に習主席の姉夫婦が多額の資産を持っていることをカモフラージュしているのだ」との手厳しい声も出ているほどだ。