阪神から横浜DeNAへFA移籍を果たした久保康友投手(33)。人気球団・阪神を飛び出した理由の1つに、2013年シーズンのリリーフ起用が挙げられている。2005年のロッテ入団時から、先発として活躍。2009年の阪神移籍後も、先発の柱として投げ続け、2010年にはリーグ最多の29試合に先発し、14勝を挙げた。
だが、2012年限りで長年にわたり、阪神の抑えを務めてきた藤川球児がメジャー挑戦のために、チームを離れた。そこで、和田豊監督は、藤川の後釜として、久保を指名。開幕当初こそ、セーブを重ねていったが、5月に不振に陥り、二軍落ち。8月に復帰後は、セットアッパーとしてチームを支えた。
それでも、入団以来、先発を続けてきた本人にとって、抑えは決して希望したポジションではなかったようだ。シーズン終了後、和田監督は「抑えに関しては、結果は出なかったけど、中継ぎでは非常にいい投球をしてくれている。本人は先発やりたいと思いながら、という1年だったとは思う」とコメント。
FA宣言後、久保と交渉した中村勝広ゼネラルマネージャーは、「クローザーが彼にとって良かったのか、編成の責任者として詫びた」と異例の謝罪をした。
このような流れのなか、久保を獲得したDeNAは先発での起用を確約し、中畑清監督も2ケタ勝利を期待している。では、本当に久保は先発向きで、リリーフには適性がないのだろうか。
久保はプロ通算9年で、233試合に登板。その内訳は先発160、救援73となる。防御率を見ると、先発で3.70、救援で3.26と、リリーフのほうが良い数字を残している。
2009年の阪神移籍以降は、2013年を除けば、4試合しかリリーフがなかった。だが、ロッテ最後の年となった2008年は21試合もリリーフで投げている。この年の久保は、4月から4試合連続でノックアウトを喰らい、配置転換される。5月28日の阪神戦で、4回を投げるロングリリーフで無失点に抑え、勝利投手になると、そこから8月中旬まではセットアッパーとして活躍。7ホールドを挙げた。
8月16日の楽天戦から先発に復帰するも、3試合連続で敗戦投手に。最後は連勝で締めたが、この年の久保は先発12試合で防御率5.45に対し、救援21試合で防御率3.60。リリーフ時のほうが好成績であった。
DeNAで、仮に先発として上手くいかなければ、リリーフに回すという選択肢もあるだろう。まして、DeNAはリリーフ陣が手薄い。8月に34歳を迎えるベテランは、1年後どのような評価が下されているのだろうか。