周囲を魅了する豪快さ、そして優しさを兼ね備えた男だった。やしきたかじん、享年64。1月3日、3年間に及ぶがんとの闘いに力尽き、この世を去った。「やっぱ好きやねん」「あんた」などのヒット曲を世に送り出した歌手であり、「関西の視聴率王」としてテレビ界を牽引したタレントでもある彼を慕う著名人は多い。
その人徳は芸能界のみならず、夜の街にも広く知られていた。ある北新地のクラブのママがいう。
「とにかく義理と人情のお人。馴染みのホステスが独立した時に、ドンペリを空けるなんて当たり前。バラの花を50万円分プレゼントしたこともある。
驚いたんは、杉田かおるさんと飲んでらっしゃった時のこと。盛り上がりすぎて、杉田さんが東京に戻る最終の新幹線に遅れてしまって……。
そしたらじんちゃん(注・たかじんのこと)はタクシーを呼んで、運転手さんに札束をポンと渡して、“これで東京まであんじょう(ちゃんと)行ってやってや”と告げたんです。もう痺れました。こんな人がおらんようなって、北新地も寂しくなります」
※週刊ポスト2014年1月24日号