名軍師の“初陣”はほろ苦いものとなった。NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』の初回視聴率は18.9%(関東地区)と、過去10年では『平清盛』(2012年)の17.3%に次いで2番目に低いスタートに。ツイッターでは「少年時代から始まるいつものパターン」「ナレーションの藤村志保の声が芝居がかっているうえに聞き取りづらい」などと視聴者の感想も手厳しいものばかり。
ちなみに『平清盛』は平均視聴率が12.0%と大河ドラマ史上最低を記録した散々な作品だっただけに、『官兵衛』も前途多難が予想される。
それにしても、映画『永遠の0』の公開時期と重なって、主演の岡田准一が新聞や雑誌を席巻するほどPRしていたにもかかわらず、初回20%超えが当たり前の大河ドラマでなぜこれほどの低視聴率なのか。時代劇に詳しいコラムニストのペリー荻野氏はこう見る。
「まず、黒田官兵衛のネームバリュー自体が低い。さらに『軍師』というタイトルが戦争をイメージさせ、女性視聴者層から敬遠されたのでしょう」
たしかに、ヒゲ面、黒装束姿の岡田准一のポスターは男臭さが漂っている。
「登場人物を善と悪にハッキリと区分けして高視聴率を挙げた『半沢直樹』のように弾けることは正直難しいでしょうね。ただ、番組プロデューサーから直接話を聞いて、今後の展開には大いに期待しています。『官兵衛』は地味ながらも、噛めば噛むほど味が出てくるドラマになるのではないでしょうか」
それまで視聴者が我慢強く見続けてくれるかどうかが問題だ。同じく大河ドラマに詳しい芸能評論家の肥留間正明氏は、第2回以降の視聴率の推移に懸念を隠さない。
「今のNHKにとって視聴率18%台はむしろ合格点。岡田准一はいい演技をしていましたが、どう見ても織田信長役の江口洋介が官兵衛で、岡田が信長のほうが適役。第2回の視聴率が3%くらい落ちると、第5回までに10%近く下がることも大いにあり得る。
知名度の低い戦国武将の黒田官兵衛だけでなく、ここ数年は篤姫や直江兼続、新島八重など地味な素材が続き、大河ドラマ自体の行き詰まりが目立ちます。『軍師官兵衛』にも赤信号がともる予感がしますね」
平清盛との時空を超えた低視聴率決戦の帰趨はいかに──。
※週刊ポスト2014年1月24日号