「脳の機能を上手に利用すれば、ダイエットは楽しく続けられます」
そう語るのは、脳科学者の篠原菊紀さん。ダイエットに大きく関わるのは、脳の“線条体”と“前頭葉”だという。
「線条体は行動を司っている部分。行動と快楽をマッチングさせたり、やる気の中核にもなる部分ですが、意識の及びにくいところでもあります。本来、人間は 食べたらカロリーを消費しないようにできていますから、この線条体をどうだまして、望ましい行動を起こさせるかが大きなポイントです。
片や前頭葉は、理性を司る部分。こちらは、比較的意思に従った活動をし、前頭葉によって行動や食欲をコントロールできるのですが、ダイエットに問題が起こっているときは、そこがうまく働かなくなっている。半無意識状態でも前頭葉のコントロールが効くしかけを工夫することが必要ですね」(篠原さん、以下は同)
線条体をだまして、脳にダイエット行動を選択させるには以下のような方法があるという。
【カロリーの数字を見比べる】
「カツ丼1000kcal、親子丼700kcalといった具体的な情報を得ると、それだけで、前頭葉は勝手に損得勘定を始め、カツ丼が割りに合わないと判断したら、自然に親子丼を選択します」
しかも脳には、同程度の好みのものの一方を選択すると、選ばなかったほうの好みの程度が落ちると言うクセがある。いったんカツ丼を選ぶのをやめれば、カツ丼の好き度合いがやや落ちる。カロリーを見比べるだけで、好みの操作ができる可能性があるのだ。
【「体脂肪1gは7kcal」と脳に刷り込む】
これは前頭葉の働きを活性化させるキーワードで、数値化された情報は効果大。「体脂肪1gは7kcal」を繰り返し脳に刷り込むと、食行動にブレーキがかかり、 自然にカロリーを消費する行動を選ぶようになる。また、1日に減らすべきカロリーなど、目安がどんどん具体化されるので、ダイエットそのものも戦略的に進 められるようになるわけだ。
前頭葉に働きかけ、脳をだまして食行動にブレーキをかけるには次の行動を実践することが大切だという。
【エッチな気分になれる本を読む】
「食欲と性欲は、ともに線条体の活動。どちらもかなり強い欲求ですが、通常、同時には起こりません。エッチな気分に なれる本を読むと、線条体の活動が性欲のほうに向き、食欲から気をそらせます。エッチなことを想像するのもよいですが、実際に読んだほうがいい。線条体が 読むための活動をするので、さらに食欲を抑えられます」
【高級レストランのガイドブックを読む】
「逆効果に思えますが、じつはこれ、かなり効果的。すっごくお腹が空いたら、高級レストランのガイドブックを読むんです。いくつもの料理を目にすると、目先の食事から気がそがれるし、食べたいものがすぐには食べられないレストランの料理に変わるので、手近な食べものに走らなくなりますよ」
【甘いジュースでうがいをする】
「甘いものを食べたとき、脳の快感を司る回路は、非常に活性化します。甘みはそれほど強い快感なんです。では、実際 に甘いものを摂らないと、甘みに対する欲求が消えないかといえば、そうでもない。口の中に甘みが入ったという信号が、快楽を司る神経に伝わりさえすれば OKだったりするんです」
※女性セブン2014年1月23日号