細川護熙・元首相が東京都知事選への出馬を表明した。出馬を促したのは小泉純一郎・元首相。2人が脱原発を掲げて組んだことで、選挙圧勝を確実視する向きもある。
急浮上した「細川出馬」の動きに震撼したのが首相官邸と自民党執行部だ。小泉氏と細川氏の都知事選連携を報じた本誌前号が発売されるや、自民党執行部は大慌てで情報の真偽確認に走った。自民党都連幹部は語る。
「都知事選で細川、小泉コンビが街頭演説に立てば、舛添(要一・元厚労相)はおろか、誰を立てても勝ち目はない。その勢いの前には、安倍首相が舛添の応援に立っても霞んでしまう。首相は小泉さんと比較されるのが恐くて演説に立てなくなるのではないか。
かつて小泉さんが自民党総裁選で田中真紀子の応援を得て旋風を起こしたような状況が再現されかねない。“風”が吹けば、猪瀬前都知事をはるかに凌ぐ500万、いや600万票を獲得するかもしれない」
自民党さえ「細川圧勝」とみているわけだが、安倍政権のダメージは都知事選の敗北だけにはとどまらない。
本誌がこれまで再三指摘したように、東京都は東京電力の大株主であり、都知事は同社の経営に大きな発言力を持つ。安倍政権は東電柏崎刈羽原発の再稼働を推進しているが、「原発ゼロ」の細川都知事が誕生すれば、小泉氏とともに真っ先に再稼働反対を突きつけて安倍政権と全面対決に臨むことになるはずだ。
東京五輪の利権の構図も根底から覆る。安倍政権は“都知事不在”のうちに五輪の大会組織委員会会長に森喜朗・元首相を内定させたが、会長人事には開催都市のトップである都知事の同意が必要となる。
「細川氏は熊本県知事時代、九州新幹線建設を無駄な公共事業と批判し、『熊本には新幹線はいらない』と着工を拒否した剛毅な一面がある。安倍政権が五輪に合わせて解禁しようとしているお台場のカジノ構想についても、『東京にカジノはいらない』と拒否する可能性がある」(細川氏を古くから知る大臣経験者)
※週刊ポスト2014年1月24日号