今日と明日行われるセンター試験で、いよいよ大学入試が本格的にスタートする。50万人以上が一斉に臨むセンター試験は、マークシートが採用されているが、初年度には混乱もあったようだ。当時を振り返る。
「大学共通第一次学力試験」、いわゆる「共通一次」が導入された1979年。初めてマークシート方式が採用された。これまで記述式だった試験が、見たこともないマークシートに……。劇変の影響をモロに受けたのが、1960年生まれの受験生だった。現在53歳のCさんが、当時を振り返る。
「高校でマークシートの塗り方講座が開かれましたよ(笑い)。2Bの鉛筆がベストだとか、迷ったら鉛筆を転がせとか、今から思えばバカなことを真剣にやっていた。どんな問題が出題されるか不安だったが、事前の模試よりはるかに簡単で拍子抜けしたのを覚えています」
共通一次の導入を機に、1期校・2期校のグループ別入試は廃止。国立大の入試日程は一本化された。受験生の愛読書『蛍雪時代』(旺文社)の元・編集長代田恭之氏は、1979年を「日本受験史上最大のエポック」と表現する。これ以降、大学受験の構造が大きく様変わりするからだ。
「共通一次は当初、5教科7科目が必須で、これに二次試験が続くという、国立大志望者には負担の大きい制度でした。そのため私立併願が急増します」
国立はリスクを避けた安全圏の大学を選び、私立は少しレベルが上の学校を目指すという受験生が増える。結果、多くの優秀な学生が私立に流れるという現象を生んだ。それは当時流行した「国公立離れ」、「国合私落」といった言葉に現われている。
こうした“需要の増加”に合わせて、私大が急増した。1949年に国公立88校、私立92校だった大学数は、バブル崩壊直前の1991年には、国公立135校に対し、私立377校にまで膨れ上がる。
※週刊ポスト2014年1月24日号