昨年4月からサービスが開始されたオンラインゲーム『艦隊これくしょん=艦これ=」が、若者たちを中心に大ヒットし、新たな「軍艦ブーム」の火付け役となっているが、元帝国海軍の軍人たちは今の状況をどう思っているのだろうか。
ゲームの内容は、帝国海軍の軍艦を擬人化した「艦娘(かんむす)」と呼ばれる美少女キャラクターを戦わせながら育てるものだが、イギリスで造られた「金剛」が帰国子女になっていたり、戦艦のキャラクターばかり出撃させると燃料や弾薬が不足するというように、史実に即した設定もなされている。
当初の予測を上回る爆発的な人気のために、ゲームへの登録を抽選制にするなどの措置も取られ、そのユーザー数は実に150万人を超えているというからその勢いたるやまさに「超弩級」だ。
さらに、その人気はゲームの枠にとどまらない。軍港周辺では、カレー店が「艦これ」のキャラクターをモチーフとした軍艦カレーを開発したり、コンビニが店中を「艦これ」ポスターで飾り立ててアピールするなど、戦争特需ならぬ「艦これ特需」に沸いている。
全く新しい形で訪れた突然の軍艦ブームに、実際に乗組員として戦った元帝国海軍人は何を思うのか。軽巡洋艦「矢矧」(やはぎ)の乗組員だった池田武邦氏(90)に、「艦これ」について説明し、ゲーム内の「矢矧」とご対面して頂いた。
「かわいいじゃないか。うん、いい子だよ。こういうのが人気あるの?」
──はい。大ブームです。
「しかし、驚いたねえ。男の子は興味ないのか?」
──むしろ男性ファンが多いです。
「そうかそうか。面白いなあ」
──こういうブームをきっかけに、歴史に興味を持つ若者が増えるかもしれません。
「まあ、それはそれでいいわな(笑い)」
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2014年1月24日号