どんな大投手でも、被安打ゼロのままではいられない。そして、相性が悪い打者というのも存在する。金田正一氏と桑田真澄氏が、それぞれ苦手だった打者について打ち明けた。
──2人にはイヤだった打者がいるのでしょうか?
金田:ワシは吉田義男1人だ。アイツはチビのうえに、バットを短く持って前屈みに立つからストライクゾーンなんかない。ワシが150キロ超の球を投げたら、全部ホップして浮いてしまうから、全部ボールになってしまう。仕方ないからカーブを投げるんだが、吉田はこれを待っていやがってコツンと当ててくるんだよ。
桑田:僕も同様に、短く持ってコツコツ当ててくる打者はイヤでしたね。ファウルで粘られるからなかなか打ち取れない。和田(豊・阪神)さんとか、宮本(慎也・ヤクルト)、井端(弘和・巨人)とかは苦手にしていました。
──右打者・左打者との相性はあるのか?
桑田:確かに、一般的には右投手は左打者との相性が悪いといわれていますよね。その逆も然りです。でも右投手の僕は、左打者が大好きでした。なぜなら左のほうが、体を開かないで投げられ、意識しなくても「溜め」ができるからです。右打者は僕から見て左側がガランと空いているので、調子が悪いときには体が開いてしまいますから。
──では、左の代打が出てきた時は……。
桑田:正直、ラッキーと思っていましたよ(笑い)。
金田:左投手のワシも、右の方が好きだったな。ただワシの場合、当時は大半が右打者だったから、たまに左が出てくると投げづらいという事情もあったけどな。
桑田:個人差もありますよね。例えば、工藤(公康)さんは左打者によく打たれていた印象があります。
※週刊ポスト2014年1月24日号