【マンガ紹介】
『銀盤騎士(2)』小川彌生/講談社/450円
『アイスフォレスト(12・完)』さいとうちほ/小学館/420円
ソチ冬季五輪に向けて、ますます盛り上がりを見せるフィギュアスケート。きら星のような選手たちの演技に心を奪われっぱなしです。美しく厳しいこのスポーツは、漫画の世界でも見ごたえがあります!
小川彌生『銀盤騎士』は、男子フィギュアのスター選手・心と幼なじみの編集者・千登勢を描くラブコメディー。心は氷上ではクール&ビューティー。まるで王子様ですが、実際はアニメオタクで、なまっていて自信がないヘタレ男子。弱虫な彼が実力を発揮できるのは、大好きな千登勢が唱えてくれるアニメの呪文のおかげです。
世間のイメージと本当の姿があまりに違う心と、彼の試合にこっそりつきそう千登勢の二重生活は前途多難。今にもくっつきそうなふたりなのに、恋愛初心者ゆえに素直な思いが伝わらないこともしばしば。じれったい恋模様から目が離せません。
試合中の心のかっこよさとプライベートのギャップも見どころです。リンクでは画面からにじみ出る王子の風格とかっこよさにクラクラするほど。演技が始まった瞬間、空気を変える選手の「華」が見事に描かれています。だからこそ本当は不安に揺れる姿を知ると、一層ドキドキときめきます。
さいとうちほ『アイスフォレスト』は、アイスダンスを描いた華やかな作品。パートナーと息のあった演技を創りあげるまでの舞台裏は、とにかくドラマチック!
故障してスケートから遠のいていた元シングルの選手・雪野、スケートに情熱を傾ける謎めいたオーナー・一己、雪野のパートナーとして選ばれたロマン。恋人のような、同志のような、でもライバルでもあるような緊張感あふれる三角関係と、艶っぽいスケートシーン。さらにジェットコースターばりの刺激的な展開もあってページをめくる指が止まりません。
全12巻の本作。最終巻では、冒頭から4年後のバンクーバー五輪が描かれます。積み重ねた思いと努力が美しく結晶していく最後の演技は号泣もの。奇跡の4分間を、ぜひ漫画で味わってみてください。
(文/横井周子)
※女性セブン2014年1月30日号