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細川護熙氏の1億円借り入れ 東京佐川急便事件と全く関係なし

 小泉純一郎・元首相の支援を受け、東京都知事選(2月9日投開票)への立候補を表明した細川護熙・元首相。案の定というべきか。官邸と自民党は新聞・テレビとともに、細川・小泉バッシングの大合唱である。

「殿、ご乱心」(甘利明・経済再生相)
「五輪を人質に取って原発ゼロをやろうなんて卑怯だ」(森喜朗・元首相)

 自民党の有力者がそう次々に声をあげたばかりか、いざ、細川氏が小泉氏の全面支援を受けて東京都知事選に出馬表明すると、菅義偉・官房長官は、「(細川氏は)総理大臣当時、佐川急便から猪瀬さんの倍のお金(1億円)の問題で辞任したわけでありますから、都民がどう受け止めるかなという感じかなと」と、かつての政治資金疑惑を蒸し返して批判した。

 産経新聞も14日、〈20年前に1億円借金問題、細川氏に説明求める声〉と疑惑を報じ、翌日のテレビのワイドショーでは、コメンテーターが「細川さんは1億円を説明する必要がある」と一斉に批判した。

 ちなみに、細川氏が佐川急便から1億円を借り入れたのは首相時代(20年前)ではなく、31年前、熊本県知事選挙に出馬する前のことだ。後に自民党を揺るがせた東京佐川急便事件(※注)とはまったく関係がないが、自民党は細川氏が首相に就任すると、昔の借り入れをしつこく追及し、「自宅の山門修復などにあて、すでに返済済み」と説明する細川氏を退陣に追い込んだ。

 当時、自民党の弁護士議員として、国会でこの問題を厳しく追及した白川勝彦・元代議士が苦笑する。

「あの問題は、そもそも闇献金問題ではない。借入金をマンション購入や自宅修復にあてたのは、所得税法上問題がなかったかということだったが、総理を辞職したことで政治責任は果たしている。私は都知事選では細川さんを応援します」

【※注】東京佐川急便事件/1992年に発覚した東京佐川急便の前社長らの特別背任事件。4900億円もの資金が、暴力団や右翼団体への融資や政治家への闇献金になったとされる。当時の自民党の最高実力者だった金丸信・自民党副総裁が5億円の闇献金の受け取りを認め、同年10月、議員を辞職した。

※週刊ポスト2014年1月31日号

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