女子アナを名乗る者は数あれど、第一線で活躍するのはほんの一部の精鋭たちといっていい。特に優秀でなければ生き残れないのが、フリーアナウンサーたちだ。テレビ局という後ろ盾がないため、処世をひとつ間違うだけで、二度とお呼びがかからなくなってしまう。
局から独立してフリーとなった場合、特に難しい。古巣とも仲良くやらなければいけないし、かといって特定の局とだけベッタリでは稼げない。その点、フリー・夏目三久アナ(29)の復帰劇は鮮やかだった。
世間を騒がせたプライベート写真が流出したことがきっかけで干され、退社に追い込まれたが、テレビ朝日系の『マツコ&有吉の怒り新党』で大ブレイク。「女子アナ界ナンバーワンの数字(視聴率)を持つ女」(広告代理店社員)と称えられるまでに成長した。
日テレ上層部は「逃がした魚は大きかった」と悔やんだのだろう。再三にわたってオファーを出した結果、昨年4月に同局の『真相報道 バンキシャ!』メインキャスターに就任。見事な凱旋を果たしたのである。
決して円満退社とはいえない形で抜け出した古巣から、“三顧の礼”をもってアナウンサーにとっての“玉座”である、看板報道番組のメインキャスターに迎えられた夏目アナ。この大逆転劇を可能にしたのは、それまで培ってきた「人脈」だった。
「同時期に日テレからフリーになった羽鳥慎一が、夏目のことをすごくかわいがっていて、自分がお世話になった芸能界の重鎮たちに夏目を紹介したそうです。その結果、大手事務所への所属が叶い、夏目は大きな後ろ盾を得て日本テレビに堂々と凱旋できたわけです」(芸能事務所社長)
孫子の兵法には「人に致して人に致されず」とある。相手に左右されるのではなく、相手を左右するほどの主導権を握れという格言である。芸能界の要衝を押さえ、日テレとの立場を逆転させた夏目アナは軍師としての才覚十分だろう。
※週刊ポスト2014年1月31日号