食生活の欧米化と高齢化の進行で、大腸がんが増加している。がんの死亡率を臓器別でみると、大腸がんは女性が1位、男性は3位である。早期の大腸がんは治療で寛解するが、便潜血検査の受診率は約20%と低く、陽性と診断されても、約55%が精密検査の大腸内視鏡検査を受けていない。
この検査は肛門から内視鏡を入れるため、羞恥心や面倒くささがあるのと、医師の技量により、苦痛の度合いが違うなどの理由が受診率を低くさせている原因だ。
そこで、カメラ内蔵のカプセルを飲むだけで大腸内を撮影できる大腸カプセル検査法が開発された。国立がん研究センター中央病院内視鏡科の角川康夫医長に話を聞いた。
「すでに導入されている小腸用は、カプセル内にカメラ1台内蔵ですが、大腸カプセルは前後に2台のカメラが内蔵されています。大腸はひだが多いのですが、前後2台であれば、ひだの内側も撮影でき死角を減らすことができます。現在の第2世代カプセルは、6ミリのポリープを見つける感度が84~91%とかなり高くなっています」
検査当日は最初に約2リットルの下剤を飲み、腸内をきれいにした後でカプセルを飲み込む。その後、早く大腸に到達するように更に約2リットル下剤を飲む。人によって違うが、カプセルは平均4~5時間で体外に排出される。体外に排出される時間が遅い場合は、下剤服用量が増える可能性がある。
「内視鏡検査はポリープが見つかると、その場で切除や組織採取ができます。しかし、カプセル検査はポリープが見つかっても切除ができないので、改めて内視鏡治療が必要です。また小腸カプセルは排出されるまで、職場や家庭で過ごすことができますが、大腸検査は基本的に排出されるまで、病院で過ごしていただくことになります」(角川医長)
カプセル大腸検査は、腸閉塞と、その疑いの人は受けられない。また極度の便秘症の人は受診できないこともある。飲むだけという簡単なカプセルの登場で、検査の受診率が向上すると期待されている。大腸カプセル検査は、今月から保険で受けられる。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2014年1月24日号