浄土真宗本願寺派の現役僧侶でありながら、シンガーソングライターとして音楽活動を展開、ジブリ映画『かぐや姫の物語』で主題歌『いのちの記憶』を歌っている二階堂和美(39才)。
彼女が高畑監督からオファーを受けたのは、妊娠中だった2012年10月。2013年3月には、出産までひと月という大きなお腹でレコーディングに臨んだという。
「ちょうど妊娠中でライブ活動も休んでいましたし、自分にとっても大事な節目にこの一曲にかかわれ、映画のテーマでもある命を感じられるいい時期でした」(二階堂・以下「」内同)
映画『かぐや姫の物語』の中で、翁媼(おきなおうな)は竹から生まれたかぐや姫を授かるが、くしくも自身が授かったのも女児という縁も。かぐや姫が月に帰る、すなわち死を意味するテーマは、僧侶として仏事に携わることとも重なったという。
「本当に絶妙な巡り合いがすごく因縁深いと感じましたね。私もかぐや姫が赤ちゃんから成長していく様や、“親”としてかぐや姫を想う翁媼に気持ちが重ねられました。目に見えないものが繋がっていくと感じられた体験でした」
2012年、ベーシストと再婚。夫も今は僧侶となり、まさに二人三脚で仏事、そして音楽活動に携わっている。高畑監督が二階堂さんの歌に託したのは「慰め」。別離の悲しみを受け止め、限りある命を生きる強さに変えていく役目という点では、歌手としても僧侶としても、同じ存在意義を感じている。
「今は両親も旦那さんもいて、娘も授かってすごく幸せ。すごく大事なものができて、執着がいっぱい生まれてしまいました。私は坊さんですが、そういう欲深さも受け入れていくしかないなと。悟りの境地なんて、とてもじゃないけどこの世で得られるものじゃないと思っています」
※女性セブン2014年1月30日号