ビジネス

消費増税で儲かる企業は飲料メーカーや戻し税がある輸出企業

 株を買うには「情報」が重要だ。そして、政策を知る者こそ「情報」を持っている人間が強い。この時期に株を持つなら何か。実際に彼らは株を買うことはできないが、様々な政策関連の情報を持つ覆面官僚たちが話し合った。

経産A:実は、増税で儲かる業態もある。昨年10月、「消費税転嫁対策特別措置法」が施行された。要は消費税還元セールを禁止するもの。ちゃんと増税分を価格に転嫁しなさいってことなんだけど、この法律があるがゆえに、必要以上にかえって価格転嫁が進んで、実は企業の利益が増える可能性がある。

 たとえば、自動販売機で売られるジュースの現在の消費税込みの値段が120円なら、消費税3%アップで123円になる計算だ。だけど、自販機は10円刻みで値上げする方針で、公取もそれを認める方針。ジュースが自販機で130円で売れることになれば、当然、清涼飲料メーカーの利ざやが厚くなるよね。

財務B:実は、輸出国と輸入国で二重に消費税を取らないための「輸出戻し税」という制度も、輸出企業にとっては、増税が有利になる仕組み。つまり、仕入れにかかった消費税を輸出企業に後で還付する制度なんだけど、増税になると輸出企業は輸出戻し税が3%分増えるので、むしろオイシイ。しかも、日銀の追加金融緩和で円安が進めば、それだけで利益が増える。やっぱり輸出企業はこれからも強いよ。

日銀C:あと、日本株の大きな刺激要因として、年金積立金管理運用独立行政法人(GRIF)をめぐる規制緩和があるよね。昨年11月、政府の有識者会議は、国内債券に偏った資産構成の見直し、新たなリスク資産、つまり株への投資を求める提言を行なった。これを受けて、早ければ6月ぐらいまでにGRIFの基本的ポートフォリオの抜本的見直しが実施される可能性がある。

 この有識者会議は、日本取引所グループの新指数「JPX日経インデックス400」の利用も推奨しているので、これに連動したETFをGRIFが買ってくると思われる。その指数の組み入れ銘柄の中でどれが有望かは、株の達人のBさんに解説していただこう。

財務B:えへん(笑い)。今後、この新指数をベンチマークに運用される投信がたくさん設定される予定だけど、新指数の組み入れ銘柄は日経平均の銘柄と6割が重複している。だから、投信などによる新たな買いが期待できるという意味では、日経平均と重複しない残り4割の銘柄の方が値上がりしやすいんだよね。例を挙げれば、円安による外国人観光客の増加で潤うエイチ・アイ・エス(東証1部・9603)が“国策銘柄”といえるので面白い。

国交D:やっぱり、増税の影響ってそんなになさそうだね。僕らも自由に株が売買できたら、すごいお金持ちになってるんだけどな(笑い)。

※週刊ポスト2014年1月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン