23日、都知事選が告示され、元首相の細川護熙氏を初め、舛添要一氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏、前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏らによる選挙戦の幕が切って落とされた。
細川氏の出馬により、都知事選最大の争点として急浮上した「脱原発」。細川氏を支援する小泉純一郎氏はこの都知事選を、「原発がなくても日本は発展できるという勢力」と「原発がないと日本は発展できないという勢力」の戦いであると表現した。
主な候補者を「原発政策」で色分けすると、脱原発を唱えるのは細川氏のほか、宇都宮氏や舛添氏だ。
「即時ゼロ」を求める細川氏に比べ、宇都宮氏は「東電の株主総会で廃炉を提案する」とし、その色合いは薄い。舛添氏は、「私も脱原発を言い続けている」としながらも、「都の再生可能エネルギーの比率を2割ぐらいに引き上げたい」と語る“漸進派”だ。
対して、原発推進を掲げるのは田母神氏だ。海外に比べ「日本の安全基準は厳しい」とし、「科学的に検討し原発を使えばいい」と語っている。
とはいえ、脱原発が争点として取り上げられることについては批判も噴出している。安倍晋三首相(59才)は、「国政で行うべき問題で、都知事選の争点とすべきでない」との認識を示した。舛添氏も、「一点集中ではなく、全体をバランスよく見ることができるのがリーダーだ」と断じ、原発のみを争点とすることに疑問を呈している。
では、識者はどう見るか。ジャーナリストの江川紹子氏は、「原発の是非は大事なテーマ」としながらも、それのみにスポットが当たることには反対する。
「小泉さんの言う『原発ありか原発なしか』という単純な二元論は非常に危険です。1300万の人口を抱える東京都知事の役割は、何といっても都民の生活をよくすること。大規模な自然災害や超高齢化社会にどう備えるかが都知事選の大きなテーマであり、原発だけをクローズアップするのは困りものです」
一方で、「脱原発」の争点を歓迎する声もある。原発ゼロに向けた活動を続けている作家の鎌田慧氏はこう語る。「以前行われた世論調査で、7割以上が原発の再稼働に反対しているという結果があった。にもかかわらず、安倍政権はまったく無視して逆の方向に突き進んでいます。それに対する国民の苛立ちを細川さんが受け止めたのでしょう。ようやく政治に世論が反映されるのだと喜んでいます」
※女性セブン2014年2月6日号