400勝投手として知られる金田正一氏だが、実は通算38本塁打を記録する投手の本塁打王でもある。投手としての出場試合数は944試合だが、代打の出場などをあわせると通算1053試合にものぼる。金田氏と対談する桑田真澄氏もプロ野球通算打率2割1分6厘と金田氏(1割9分8厘)を上回る好打者。投手の強打者二人の対談は、打撃についても及んだ。
金田:まァ、(弱かった)国鉄(スワローズ)相手だったら、どんな打者よりもワシが出てきたほうが、相手投手は怖かっただろうよ。
桑田:そうだ、一度聞いてみたかったんです。金田さんは「投手の本塁打王」ですもんね(注・38本塁打は日本記録。うち2本は代打)。敬遠もされたことがあるって本当ですか?
金田:8回もあるぞ(笑い)。(※8回目の敬遠は代打のとき)国鉄時代は、相手がワシを敬遠して、1番打者と勝負するんだ。
そりゃそうさ、ワシが打席に立った時に厳しいコースを突いて、もしブツけたら、「次はワシも行くぞ」と睨みつけるんだから、自然とコースも甘くなる。大洋戦では、エースの秋山(登)からサヨナラスリーランを打って勝ったこともある。秋山には「カネさん、アンタそりゃないよ」っていわれたけどな(笑い)。
──桑田氏も、甲子園大会の通算本塁打数は歴代2位、プロ野球でも金田氏を上回る通算打率で打者として評価が高かったが。
桑田:(金田氏を見て)いやいや、“大打者”を目の前にして、そんなこといえませんよ(笑い)。
金田:今度は打撃論でもやりあおうか?(とニヤリ)
※週刊ポスト2014年1月24日号