現在、海上自衛隊の人員は約4万8700人。保有する“戦力”は護衛艦、潜水艦、機雷艦艇など約140隻、航空機約170機である。その任務は近年、ますます多様化しているという。
「海自の基本任務は海を経由した脅威に対処し、資源の乏しい日本にとっての“命綱”であるシーレーンの安全を確保すること。昨今は中国の軍備増強や北朝鮮の弾道ミサイルや不審船による不法行為があり、海自の任務が非常に多様になっています」(元防衛大学校教授の平間洋一氏)
日本の弾道ミサイル防衛(BMD)の中核を担うのは、高度な探知・情報処理システムを搭載する6隻のイージス艦だ。日本国内に飛来する可能性のある弾道ミサイルが他国から発射されると、イージス艦が地上配置レーダーと共に探知・追尾し、洋上からスタンダード・ミサイル(SM3)で迎撃する。
1隻あたりの建造費は約1500億円ともいわれるが、防衛力強化のため、国は今後10年以内にイージス艦をさらに2隻建造する方針を固めている。
四方を海に囲まれた日本で敵艦の警戒監視という大役を担うのが潜水艦だ。最新鋭の「そうりゅう」型潜水艦は、外気を取り込まなくてもエンジンを駆動できるAIP(非大気依存推進)システムを搭載し、長時間にわたる静粛潜航が可能になった。今後、16隻の潜水艦を22隻まで増艦する予定だ。
写真で紹介するのは、「そうりゅう型」潜水艦の4番艦で世界最大級の通常動力型潜水艦「けんりゅう」。全長84メートル、基準排水量2950トンで乗員約65名。第1潜水隊群第3潜水隊に所属し、呉港に配備される。
他にもDDH(ヘリコプター搭載護衛艦)、DDG(ミサイル護衛艦)、掃海艇、輸送艦など海自の艦艇は多岐にわたり、“世界有数の実力”とも評される。2015年には、基準排水量1万9500トン、全長248メートル、乗員約470名という海自最大の艦艇、DDH「いずも」が就役する予定だ。海自の誇る精鋭艦艇は、近海での有事に備え、静かに牙を研いでいる。
写真提供■海上自衛隊
※週刊ポスト2014年1月24日号