1月24日から通常国会が始まるが、自民党の国対関係者は「官邸から安倍晋三首相の国会出席を減らすよう官邸から要請があった」と話す。安倍首相はトイレに行く回数が増えるなど体調に異変があるというのだ。安倍首相の体調悪化が取り沙汰されるのはこれが初めてではない。
小泉純一郎元首相が講演で「原発ゼロ」をぶち上げた昨年11月に、官邸関係者の一部で“ケネディ駐日大使の表敬訪問すっぽかし”と呼ばれる出来事が起きた。
昨年11月28日、キャロライン・ケネディ駐日大使が首相官邸を表敬訪問した際、首相ではなく菅義偉・官房長官が応対した。このとき、「安倍首相も同席するつもりだったが、急な体調悪化で医師に診てもらうことになり、会えなくなった」(官邸筋)という情報が流れた。
安倍首相はケネディ大使が東京に着任した翌日(11月20日)に官邸で昼食を共にしており、官邸は「この日の表敬訪問はもともと官房長官が応対することになっていた」と説明する。
ただし、首相がケネディ大使と昼食で歓談したときと、菅官房長官との会談の間に、国際状況は大きく変わっていた。中国が防空識別圏拡大を発表(11月23日)するという、日米同盟にも関わる重大事件が起きたからである。この日のケネディ-菅会談は午後1時55分から約30分間行なわれ、中国の防空識別圏設定について「日米で引き続き緊密に協力・連携していく」という重要な合意がなされた。
そのとき、安倍首相は何をしていたのか。当時の首相の行動を検証すると、不可解な事実がわかった。
時事通信の首相動静によると、首相はこの日、小野寺五典・防衛相や岩崎茂・統合幕僚長らとの打ち合わせ後、午後0時9分に官邸を出て、東京・大手町の読売新聞本社ビルで行なわれた竣工パーティに出席。挨拶だけして同46分に読売本社ビルを出発、同58分には官邸に戻ったことになっている。その後、午後2時3分から作家の幸田真音氏と対談するまでの「1時間5分」の動静が空白なのだ。
空白はちょうどケネディ大使が菅官房長官に会っていた時間帯だ。あれほど国家安全保障と日米同盟関係を重視する安倍首相が、官邸内で米国大使と中国の防空識別圏問題をめぐる話し合いが行なわれていた間、自室でのんびり昼食を取っていたとは考えにくい。
事前に統合幕僚長らからヒアリングを受けていることから見ても、安倍首相が短時間であっても、「ケネディ―菅会談に同席して中国への対応を協議するつもりだった」との情報は説得力がある。では、首相は会談に出席せず、何をしていたのか。
この空白の時間帯について、「首相が読売本社ビルを出た後、まっすぐに官邸に戻ったのではなく、極秘に都内の病院で診察を受けたようだ」という情報も飛び交ったが、真偽の確認はできなかった。官邸には自衛隊の医官も常駐しており、診察を受けることはできる。ただ、安倍首相がその間にどこにいたにせよ1時間あまりの動静空白が、ただならぬ憶測を呼んでいる。
※週刊ポスト2014年1月31日号