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30周年の劇団四季キャッツ 猫以上に猫らしい表現求められる

 2013年11月11日。この日劇団四季の『キャッツ』は30周年を迎えた。静岡市民文化会館には1500人を超えるファンが集結していた。一瞬たりとも見逃さないぞ、という前のめりの姿勢。時に涙し、時に笑い、手が真っ赤になるまで拍手する。カーテンコールでは総立ちとなり、いつまでもいつまでも拍手が鳴りやまない。俳優たちはそんな客席を見渡し、じっくり受け止めるように胸に手を当てていた。

「30年間、全国のお客さまに育んでもらった作品。いつもとまた違う、親心のような温かい雰囲気があって、猫たちもいい舞台ができたように思います」

 うれしそうに話すのは振付を担当している加藤敬二。ストイックな彼が珍しく興奮している。加藤は『キャッツ』に魅せられ、この世界に入り、長らく演じてきた。

「30年前の作品、ではないのです。今日は今日の『キャッツ』。動きも表現力も進化しています。人生の幸せとは何か、それを猫の世界でどう表現していくか。探し求め続けるのが課題ですね」(加藤)

 30年、ここまで愛され続けている理由はいくつもある。ひとつは、俳優たちの身体能力の高さに見惚れてしまう“バレエ要素の高さ”。次に、何度でも見たくなる“シンプルなストーリー”と“耳に残るアンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽”。そして異空間に没頭させる“エンターテインメント性”。猫メイクに総タイツ、猫目線で作られた舞台装置。劇場に入った瞬間、観客はキャッツの世界の虜になってしまうのだ。

 リーダー猫・マンカストラップを演じている萩原隆匡も「劇団四季で『キャッツ』に憧れない人はいない」と断言する。

「でも、選ばれた瞬間からハードな日々が始まります。歴史がある分、レベルを落とせないプレッシャーがある。何度やっても緊張しますね。衣裳とメイクだけでも“猫の扮装がすごい”という驚きはあるかもしれませんが、もちろんそれだけではありません。

 そこにメロディーがあって、ダンスがあって、セリフがあって、訴えたいことがある。『キャッツ』は、猫が演じるという時点で一種のファンタジーですが、作品としてのリアリティーは求めたい。かつ、猫以上に猫らしい表現をしなくてはならないんです」(萩原)

※女性セブン2014年2月6日号

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