2014年の日本経済には、アベノミクスや消費増税、東京五輪決定など、状況を激変させる数多くの要素が存在する。庶民の生活に直結する飲食業界は2014年、どのような動きを見せるのだろうか?
外食産業の市場規模は1997年の29兆円をピークに減少傾向が続く。これを少子高齢化という理由だけで説明するのは適当ではない。購入した惣菜を持ち帰って食べる「中食」市場が拡大しているように、食の消費意欲そのものが減っているわけではない。
1997年といえば消費税が3%から5%にアップされた年。増税前の駆け込み需要の反動で家計の節約志向が高まり、外食の機会を減らさざるを得なくなったのが最大の要因と見るべきだろう。
飲食業界は、古今東西、為政者の増税政策に翻弄されてきた歴史がある。食料品は所得の多寡に関係なく誰もが消費する支出だけに、増税政策が庶民の“反乱”を招き、革命や政変に至ったケースも数多い。
だからこそ諸外国では消費税に軽減税率を設定し、特に飲食業界に適用している。安倍政権も軽減税率の適用を検討しているものの、2014年度の税制大綱には「10%時に導入」という曖昧な表現を盛り込むにとどめ、導入時期を明示していない。
また、飲食業界は軒並み円安による原材料高に苦しんでいる状況下にある。今年4月の8%、そして来年10月の10%引き上げは、企業間で繰り広げられている競争以上に飲食業界に厳しい現実を突き付ける可能性が高い。
※週刊ポスト2014年1月31日号