46才にして芸歴43年の大ベテランの坂上忍氏が今、人生2度目のブレークを迎えている。マツコとも違うし、有吉とも一線を画す坂上流「建前無用」スタイルの毒舌はなぜこれほど共感を呼ぶのだろう。そして、その強烈すぎる個性は、どのようにして醸成されてきたのか。
二日酔いのような、はれぼったい目で睨みながら、ボソボソしゃべり始め、急にヒートアップして大声で攻撃していく──今、坂上忍(46才)をテレビで見ない日はない。毒舌なのに人気者。昨年下半期のバラエティー番組出演本数は150本を超えた。コラムニストの今井舞さんは、芸能界における毒舌キャラの条件を挙げる。
「今、人気の毒舌キャラは、みなさん苦労しています。有吉弘行さん(39才)は、仕事のない不遇時代があったし、マツコ・デラックスさん(41才)は、ゲイという世界で生きてきた。世間は、そういった人たちの過去や人柄も加味して彼らの発言を聞いたうえで、毒舌を受け入れるんです」
坂上も、3才で芸能界に入り、両親の離婚を経験し、親の借金1億円を背負って働いた。結婚生活もわずか2年で破綻。そのうえで再婚しないと公言している。ジェットコースターのような浮き沈みの激しい人生を歩んだ彼も、条件をクリアしているといえるだろう。
だが、坂上の場合は、「ブス嫌い」をはじめとする“女性蔑視”の発言があるにもかかわらず、女性の支持も多い。ライターの仁科友里さんは、それには、2つの理由があると分析する。
「まずは、誠実さ。男性が“ブス嫌い”なのは当たり前と、女性はわかっています。だから、“女性は顔じゃない”と言う建前だけの男性より、正直に自分の本音を言う坂上さんにかえって誠実さを感じる」
そして、2つ目は、「平等さ」。仁科さんによれば、坂上は番組中、特定の人を指して、ブス呼ばわりすることは、ほとんどないという。
「ブス役の女性芸人さんにも“もしあなたがブスとするなら”というふうに発言するんです。女性扱いを忘れないので、平等といえます。ブスは、男性にチヤホヤされるのは無理だと諦めてる一方で、男性から女性扱いされたいんです。坂上さんは、分別をわきまえたジェントルマンなんです」(仁科さん)
坂上には裏表のない「誠実」という人柄に加え、「平等」という女性観があるというのだ。
※女性セブン2014年2月6日号