『女々しくて』で大ブレークし、自ら「一発屋」と公言していたゴールデンボンバー。しかし昨年2年連続でNHK紅白歌合戦に出場。元日にリリースした『101回目の呪い』が、前作『Dance My Generation』に続きオリコンシングルランキング1位を獲得するなど、勢いは止まらない。人気は長く続かないと言われながら、今も音楽界の話題を集め続けている理由を、音楽評論家の富澤一誠さんに聞いた。
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エアバンドということで、最初は企画もの、コミックバンド、という捉え方をされてしまい、一発屋というイメージがあったと思うんです。
ですが、ヒット曲だけではなく、アルバムを聞いてみると、曲はすごくよくできている。作詞作曲は鬼龍院翔くんがやっていますが、かなり実力があるバンドだと思います。印象に残りやすいサビや、哀愁を帯びた歌詞や曲は安全地帯の初期によく似ています。
鬼龍院君のボーカルも抜群にうまい。どうしても派手なパフォーマンスに目が行きがちですが、じっくり曲を聞いていると、音楽だけでも充分、リスナーを惹きつける力がある本格的なバンドであることがわかると思います。
今年のレコード大賞で特別賞を獲得していますが、私も常任実行委員をしているので選考委員になっているのですが、当初は企画賞に、という声も出たんです。でも、最終的に彼らは企画だけのバンドではない、ということで特別賞になった経緯があります。
受賞の決め手はいろいろありましたが、ひとつはカラオケでの支持の高さです。2013年のジョイサウンド年間ランキングで、『女々しくて』は1位でした。ちなみに、2位は高橋洋子『残酷な天使のテーゼ』、3位・WhiteFlame feat.初音ミク『千本桜』、4位・モンゴル800『小さな恋のうた』、5位・一青窈『ハナミズキ』と続きます。
カラオケの定番曲を抑えて、彼らが1位になっていますよね。カラオケで歌われ続けるということは、パフォーマンスだけではなく、それだけ、楽曲の良さが根強い支持を集めている証拠と言うことができます。
また、ステージ上で見せる派手なパフォーマンスも人気の理由だと思いますが、それだけではそれこそ一発屋になっていたはずです。
例えば書家でいえば、相田みつをさんは、崩した字を書きますが、きちっとした字を書かせると、とてもうまいわけですよね。書についてのベースがあるからこそ、彼のオリジナルの書のスタイルを確立できたのです。ゴールデンボンバーも同じで、音楽の実力があるからこそ、彼らのオリジナルのパフォーマンスが面白くもあり、さらにかっこよくなるわけです。これからも活躍を続けるバンドであるのは間違いないと私は見ています。