ライフ

過去に部屋で新生児が突然死 不動産業者に説明責任はあるか

 ネット上には、事故物件情報を専門に扱うサイトが存在し、多数のアクセスを集めている。何らかの事故が発生した物件に住みたくないという気持ちは心情的に理解できるが、過去にマンションで新生児が死亡したようなケースで、不動産業者に説明責任はあるか? 弁護士の竹下正己氏はこう回答している。

【質問】
 マンションを購入したばかりですが困っています。というのも、近所の方から、この部屋で以前、新生児が突然死した話を聞いたからです。私にも8か月になる息子がいるので不安になりますし、不動産業者が物件を紹介する際に事情を説明すべきだったと思うのですが、彼らに責任はないのでしょうか。

【回答】
 マンションの売買ですが、過去に飛び降り自殺があったのに売主である不動産業者がいわなかった例や6年以上以前に首吊り自殺があったことを売主が隠していた事案では、売買の目的物に瑕疵(欠陥)があったとして契約解除を認めた裁判例があります。

 その理屈は、居住用の「建物は継続的に生活する場であるから、建物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に原因する心理的欠陥も瑕疵」であり、その瑕疵が「一般人が買主の立場におかれた場合、その(瑕疵の原因である)事実があれば住み心地の良さを欠き、居住の用に適さないと感ずることに合理性があると判断される程度」の場合には契約解除できるとし、事情を知って買った場合は別として、家族の居住の用に供するには、はなはだ妥当性を欠くというものです。

 売買の瑕疵に関する規定は賃貸借に準用されます。売買と賃貸の違いはありますが、自殺や殺人であれば瑕疵になるでしょう。しかし病死は、老衰同様に自然死の一つであり、後の居住者に、自殺のような不安感や居心地の悪さを感じさせるか疑問です。最近は自宅で死亡する例が少ないので、あなたのように不安に感じるのも理解できますが、「縁起が悪い」という程度であれば責任追及は無理でしょう。

 また不動産業者の責任ですが、知らなければ告知できません。宅建業法で、調査して説明することを命じる重要事項には、自殺事件等の建物の経歴は含まれていないので調査義務もありません。

 もっとも、知っていたら、それが賃借人が関心を寄せ、契約の決断を左右する重要な事項であれば、説明する信義則上の義務があるでしょう。そこで家を借りるにあたって前住民の生活ぶりや退去事由を重視するのなら、契約時に申し出て説明を受けることが大切です。

※週刊ポスト2014年1月24日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン