東京都知事選挙に立候補した細川護熙元首相を支援する小泉純一郎元首相への敵意をむき出しにしているのが、普段は冷静沈着で知られる菅義偉・官房長官だ。
「菅さんは細川―小泉がツーショットの出馬表明をした14日の晩、知人に『小泉をぶっ潰す!』と声を荒らげていた。周囲はそんな菅さんを見たことがないから驚いていました。さらに怒りを増幅させたのが、小泉進次郎の“反乱”。同じ神奈川選挙区ということもあって、菅さんは『あの親子は許さない』と息巻いています」(官邸関係者)
小泉親子の反乱を安倍官邸が恐れるのは、これまで抑えてきた党員たちの不満が噴出するきっかけとなり得るからだ。
「進次郎君が『舛添を応援する大義はない』といったことに、賛同する新人議員は少なくない。執行部は党に所属するすべての国会議員に、東京在住者の名簿100人以上の提出をノルマとして課した。しかし、地方選出の新人議員がクリアするのは難しいと不満が溜まっている。実は進次郎君の発言は、新人議員たちの代弁でもあった」(参院議員)
100人の名簿提出は、執行部が小泉派への牽制と党内の引き締めのために行なったものだが、議員秘書からは、「うちは大阪選挙区だから、秘書やその家族の名前も入れて出してごまかした」「出さずに、しらばっくれることにした」といった声が聞こえてくる。
引き締めようとすればするほど、安倍官邸と党執行部の求心力が低下するという悪循環に陥っている。その波は、末端の地方議員にも広がっている。
「都の区議会議員たちは内心みな『進次郎よくぞいった!』と賛同しています。都連から、ポスターを貼れ、ハガキを書けと催促が来ているが、区議にまでそんなお達しが来ることは異例。なんで自民を逃げ出した舛添を応援するために、新年の地域回りにあてるこの大事な時期を潰さなければいけないのかと、はっきり断わる区議も出てきている」(自民党区議会議員)
今回の都知事選の勝敗如何にかかわらず、地方議員が小泉派に寝返っていく流れは止められそうもない。
「小泉さんは東京都を皮切りに、全国の首長選で脱原発派の候補者の応援演説をするつもりだと聞く。2月の山口、3月の石川、4月の京都と知事選が続くが、軒並み脱原発派が勝つようなことになれば、来年の統一地方選に向けて、地方議員から安倍政権に『NO!』の声が上がることになる」(党事務局関係者)
※週刊ポスト2014年2月7日号