1980年代、アイドルグループとして人気絶頂時のチェッカーズは、女性ファンから圧倒的な人気を誇っていた。もちろん一番人気は、藤井フミヤ(当時・郁弥)。ソロ転身後も、やはり女性ファンの人気は根強かったが、最近その傾向に変化の兆しが現れているという。
それが顕著だったのが、2013年の大晦日に、日本武道館で行なったカウントダウンライブだ。この日フミヤは、『I Love you, SAYONARA』『ONE NIGHT GIGOLO』『ミセスマーメイド』などチェッカーズ時代のヒット曲を次から次へと披露し、MCでは当時を振り返った。
「チェッカーズはデビューした頃、男の子にあまり好かれなかったんですよ。なぜかというと、クラスで好きな子がだいたいチェッカーズを好きだったから。でも、男の子も聞いてくれていました。もう年取ったんだから許してくれ(笑)」
そう笑いを誘ったが、この日の武道館には、当時の様子とは違う光景が見受けられた。これまでフミヤのライブといえば、女性が大半を占めていたのだが、男性客が2割~3割にも及んだのだ。
「フミヤ~!」と男性から声援が送られると、フミヤも「ありがとう!」と反応。また、360度埋まった会場を見渡し、「どっちを見ていいかわからない」と言うと、男性が「こっちも見てくれ~!」と叫ぶ。会場にはあたたかい笑いがこぼれ、アットホームな空気が漂った。音楽関係者はこう分析する。
「カウントダウンライブということもあり、夫婦やカップルで来場した人たちが多かったため、男性客が増加したのでしょう。ただ、チェッカーズは誰もが知るビッグバンドで、当時のヒット曲は女性に限らず、男性もよく知っている。ライブにそれだけ集まったのは、潜在的に『一度、生で聞いてみたい』と思っている男性がたくさんいる証拠ではないでしょうか。50歳を超えても、フミヤはいまだに武道館を満員にする力を持っている。チェッカーズ時代から、質の高い音楽を作り続けた結果でしょう」
デビュー前は女性ファンよりも男性ファンの割合が高かったというチェッカーズ。年を経るに連れ、思春期の嫉妬心もなくなり、フミヤのライブに訪れた男性陣が続出したのかもしれない。