オフシーズンのプロ野球界は自主トレに励む選手が多い。最近は複数の選手たちが集まって合同で行なわれるのが主流だが、一昔前の球界では、誰かと連れだって練習する選手は少なかった。ある中堅OBがその理由について語る。
「選手の組合である選手会ができた前後くらいから、互いの情報収集の重要さに気付き始めましたね。交流したほうが他球団の情報や査定内容がわかるうえ、経費も安く済むというメリットを見出し、合同自主トレが盛んになりました」
それに伴って、合同自主トレを巡る愛憎劇も繰り広げられるようになる。
「巨人のある選手は、新人のうちはベテラン選手にくっついて北陸で自主トレに出向いていながら、自分が有名になり始めるとすぐに行かなくなり、自分の派閥を立ち上げて反感を買った。
反対に西武のある選手は、ベテランたちからの誘いを断わって1人での自主トレを貫いていた。しかしそれはただ、交際していた彼女と一緒にいたいという理由だったことがバレて、チームで浮いてしまった」(スポーツジャーナリスト)
実際、選手時代の自主トレのおかげで引退後も生き延びているコーチ陣もいる。
「ある球団の監督は現役時代、自分の後援者が経営する施設に同僚を集め、少しばかりの会費をとってトレーニングとゴルフで親交を深めていた。
“わずかでもお金を払って来る連中は信頼できる”といっていましたが、言葉通り、組閣したメンバーはその合同自主トレに参加していた者が中心になっています」(同前)
※週刊ポスト2014年2月7日号