1月25日、アクリフーズ群馬工場で製造中の冷凍食品に農薬「マラチオン」を混入したとして、同社の契約社員・阿部利樹容疑者(49才)が偽計業務妨害容疑で逮捕された。
食品や重工業、印刷会社など多くの工場が密集する群馬県大泉町。太田市のすぐ南に位置し、アクリフーズの工場があるこの町で、庭付き2階建ての一戸建てに阿部容疑者は暮らしていた。約120平方メートルの土地と建物合わせて2500万円はするであろうこの家を、彼は1995年に購入する。
「このあたりはほとんどが工場勤めの人なんです。阿部さんも仕事の関係で奥さんと息子さんを連れて、こっちに引っ越してきました。息子さんは当時小学生で、よく家の前でキャッチボールをしていたのを覚えています。穏やかでいいお父さんだなと思っていたんですが…」(近所の住民)
逮捕されるまで妻(50才)と長男(26才)と3人で暮らしていた阿部容疑者。ここ数年は近所づきあいもなかったというが、もの静かな様子は、これまでとなんら変わるところはなかったという。
「普通に挨拶しますが、おとなしい人ですよ。町内会の回覧板を回したり、集金したりといった時もほとんど奥さんがやられていましたから、ご主人をお見かけすることはほとんどありませんでした」(前出・近所の住民)
そんな阿部容疑者がアクリフーズに契約社員として入社したのは2005年のことだった。契約は半年ごとに更新されるが、阿部容疑者は更新時期となるこの3月以降も雇用される予定だった。
「阿部さんは工場ではいちばんの古株で、仕事もできたし、新入社員の面倒見もよかったですから、会社も同僚も悪く思っていた人はほとんどいなかったと思います」(同社関係者)
近所でも職場でも評判のよかった阿部容疑者に変化が起きたのは2012年夏頃のことだった。およそ70万円もする青い大型スクーターを購入し、ライトとスピーカーに30万円もつぎ込んで改造。
さらには、背中に「正義」と書かれたマントを羽織るなど、人気コミック『ONE PIECE』のキャラクターのコスプレをしてバイクを走らせるようになったという。阿部容疑者が扮したキャラクターは海賊たちと闘う海軍。マンガでは主人公の敵となるが、“正義”を掲げているのだ。
「金髪のカツラを被っていたから、あれが物静かな阿部さんだなんて、最初は目を疑いましたよ。バイクはそれはもうものすごい音で、アニメの『宇宙戦艦ヤマト』や『マジンガーZ』など、昔のアニメソングを大音量でかけて走っていました」(前出・近所の住民)
また、彼が訪れていた自宅近くのショッピングモールでは、若者の間で有名な存在だった。
「2年くらい前かな、海軍のコスプレしたおじさんが出没するって話題になっていて、去年の夏くらいからは午後7時以降になるとしょっちゅう見かけましたよ。ぼそぼそとしかしゃべらないけど、“写真撮ってもいいですか?”って聞くと、嬉しそうにOKしてくれました」(地元大学生)
※女性セブン2014年2月13日号